• テキストサイズ

~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)



『オイカワッ、サイコー!』

…翌日、
約束を果たしたことを報告したら、
木兎は本当に嬉しそうに
俺に抱きついてきた。

『ちょ、コタローちゃん、ヤメ…』

ズンッと俺から離れた木兎が
急に真面目な顔で訊く。

『無理矢理、約束させた?イヤそうだった?』

…そんなことないよ、って
すぐに返事できなかったのは何故だろう。

話題を、すり替えてしまう。

『ね、コタローちゃん、
彼女のことそんなに気になるのはさ、
お医者さんごっこしたいから、だけ?』

『んな、ヘンタイみたいに言うなよ~。』

ゲラゲラ笑って、
バシバシ俺の肩を叩きながら、
木兎は、サラッと言った。

『なんか、なんだろな、
頑張ってるっぽいのに
苦しそうだったからさぁ。
笑わせたいなー、って。

せっかく出会ったからさ、
笑ってほしいじゃん。
俺と出会えて楽しいな、って
一瞬でも思ってほしい、っつーかさ。

俺、フラれてもいいんだよ。
元気だしてくれて、
楽しそうな顔見てからだったら、
俺がフラれんのは、いーんだっ。』

…木兎のこういうところ、
スゴイと思うと同時に、悔しい。
コイツには、負の感情が見えない。

俺なんか、

嫉妬、とか
渇望、とか
反骨心、とか
焦燥感、とか
喪失感、とか
劣等感、とか

そんなんばっかりで、

それを隠したくて
チャラチャラしてるのに。

木兎は、心の底から、太陽だ。

『よーしっ、オイカワッ、
土曜日、スカッとするヤツ、決めっから!
俺にトス、じゃんじゃん頼むっ。』

まぁ、いいや。
木兎と彼女がどうなるかは
俺には関係ない。

木兎の調子がよければ、
それでいい。

俺にとって一番大事なのはバレーで、
そのために一番大事なのは木兎で、

早く
牛若や影山をぶっ潰す。

それが、一番の、目標。

まだ、何一つ1番になれてない俺の
まだ、何一つ手に入れてない俺の

目線の先にあるのは、それだけだ。

『よし、コタローちゃん、
彼女の瞳が♥になっちゃうような
スッゴいの、決めて見せてよねっ!
練習、しよっ。』


木兎は、彼女を、
俺は、自分の満足を手にいれるために。

パンっと、自分の頬を叩いて気合いをいれ、

雑念を振り払い、
練習を始めた。


/ 733ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp