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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第3章 ~痛い、恋 ~ (烏養 繋心)



そう、
お互いに新鮮だったんだと思う。

地元の高校から
地元の銀行に就職した綾にとって、


年が離れた彼氏、とか

"地元カップルなら一度は必ず行く"的な
おなじみの場所じゃない所への
車を使っての遠出デート、とか

チームの仲間に内緒の交際、とか

そういう、背伸びした感じの恋愛が。



一方、
もう、恋愛に純真さや感動を
求めなくなってた俺にとって、

チームのアイドルに惚れられる、とか、

世代のギャップのある会話、とか、

その割にしっかりしてる、とか、

12時には家に帰らせる、とか、

俺の日常に興味津々、とか、

セックスへの反応、とか。



お互い、
自分の知らない自分に出会える感じが
たまらなく"新鮮"だった。




…そんなつきあいを楽しみながら、
その反面、
彼女より一回り以上、年上の分、
そこそこ場数を踏んでる俺は、


"新鮮"はいつか、
"当たり前"になる日が来る、と
心のどこかで思ってはいたし、

"新鮮"が"当たり前"になった時、
たいていの恋は終わる、と
経験値から知ってはいたけれど。

だけど、
そんなことは、
今、考えてもしょうがない、

終わる時は
どうやったって終わるんだから、
今を楽しまないとな、
…ということも知っていて、

つまり、今では俺もかなり
この"棚ぼた"な付き合いを
楽しんでいた。

そして、
夏に付き合い始めた俺達が
秋を迎え、年を越し、
春が過ぎて…
一緒にひととおりの
季節と行事を過ごした頃、

綾は俺に、
また"新鮮"な言葉をかけてきた。


『ね、ケイ君、』

ごくごく当たり前の
季節の挨拶みたいに、
すごく普通の流れで。

いや、
大したことではないのだけど、
俺と彼女は、
育った環境が違うんだな、と
思わずにいられない言葉を。

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