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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)



そっと部屋を覗く。
…いる。
一人のようだけど、奥までは見えない。
扉をノックすると、目があった。
そっと手招きして、廊下へ呼び出す。

『?』

『忙しいとこごめんね、綾ちゃん。』

『…名前で呼ばれる間柄でしたっけ?
そちらのお名前、私、存じませんけど…』

おぉ、てごわい。
見た目通りのクール女子。

『ごめんね…じゃなくて、ごめんなさい。
俺、及川徹、っていいます。』

一応、聞いてみる。

『俺のこと、知らない?』

『どこかでお会いしましたか?
もしそうならごめんなさい、覚えてない…』

そっか、俺もマダマダだな(笑)

『いえ、そういうわけじゃないけど。
すみません、初対面です、はい。』

木兎のバーカ。
こんな堅物、気にしやがって。
声、かけるにしても
つまんなさすぎるだろ。

ってか、絶対、木兎に似合わない…

早くこの場を片付けたくて、
さっさと用件を切り出した。

『あのですね、単刀直入にお聞きします。
今度の週末、時間、あったら、
うちの学校の体育館であるバレーの試合を
見に来てもらいたいんです。』

『なんで、ですか?』

そう言われるのは当然だ。
けど、返事を用意していなかった。

『…俺の友達が、出るんですけど…』

『バレー?…あ!木兎君?!』


不意討ちだった。
思いもよらず、嬉しそうな顔。


『そう、木兎…知ってる?…』

『えぇ、この間、助けてもらったから。』

木兎の話から想像してたのは、
もっと迷惑そうな顔をされる展開だった。
嬉しそうな顔するなんて予想外だ。

『木兎が、綾ちゃん…じゃなくて森島さんに、
ぜひ試合を見に来て欲しいって。』

きっと、忙しいって断られるだろうけど、
そこで引っ込むわけにはいかない。
木兎のテンション、あげないと。

『週末って、土曜?日曜?』

『来てくれるんですか?』

『日曜は無理だけど…
土曜なら、時間作れるから。』

…なんだ?
なんか、思ってたのと、展開が違う。

『…忙しいんじゃ、ないんですか?』

『え?』

『木兎が
“告白したら、忙しいってフラれた”って
言ってたから。』

『だって、社交辞令でしょ?』

『?』

『出会って10分ですよ?
いくら私が堅物でも、
ソコ、マジメに受けとらないから。
しかも、あんなキラキラした人…』

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