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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第3章 ~痛い、恋 ~ (烏養 繋心)



『ゴミ袋、足りてる?』

『んー、ギリギリ足りてる。
…いや、それよりアヤ、
何で掃除のこと知ってる?
俺が呼んだんじゃねーもんな、な?!』

完全に、
俺に対する自己保身の嶋田の言葉。
別に、怒っちゃいねーのに(笑)

『さっき、大学生組から電話あった。
ゴミ袋と人手が足りないかも、って。
だからゴミ袋、持って来てみたところ。』

…な、俺じゃねーよ!と訴える嶋田の目。
わかった、わかった(笑)

『もう、後は積み込むだけ。
俺と繋心でやるからさ、
アヤ、鍵、かけてきてくれる?』

森島が電気を消し、鍵をかけ、
それを返却に行っている間、
嶋田は、シマダマートの軽トラの荷台に
イヤに急いで雑にゴミ袋を投げ込んだ。
そして、運転席に飛び乗りながら、

『後はうまくやれよ!』

『お、おい、ちょ、待…』

『じゃあな!』

…ブォン、ブーーーーーン…

軽トラが悲鳴をあげるような音をたてて
走り去っていく。
あまりの素早さに、文句を言う暇もなく。

『鍵、返してきた!…あれ、嶋田さんは?』

『…すげースピードで、帰った…』

『ありゃ。』

…俺たちを二人にするために、
ということを、森島は気付いてる?

『二人きり、ってこと?』

…気付くな、当然…

『…みたいだな。』

『ね、せっかくだから、行きませんか?』

『どこに。』

『花火大会。』

『無理!』

即答。ここは即答だ。

『この後、用事?』

『じゃねーけど!
二人で花火大会なんか行ってみろ!
お前のこと気にかけてるヤツラに
目撃でもされたら、俺、町内会チームに
居づらくてしょーがねぇじゃねぇか!』

『そんなこと、』

『あるぞ、絶対、そんなことある!
お前、知らねぇのか?チームの中で
お前に気がある男、一人二人じゃねーぞ?』

『でも、私が好きなのは烏養さんだから。
後の人はみんな、チームの仲間として
平等に接してるよ?』

『そーいう問題じゃ、ねぇ!』

『…私、今、もしかしてフラれてる?』

え?いや、フるなんて、そんな贅沢…

『んなわけ、あるか!』

『じゃ、花火、見たくない?』

『…』

『私は、見たい。』

ドーン。
遠くで空を震わす音がした。
この夏、最初の空の花。


見たい、と言われれば、
俺にはそれを断る理由が、

…ない。

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