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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第3章 ~痛い、恋 ~ (烏養 繋心)




どのくらいの時間だったか
わからない。

とにかく、
たっぷり、のキスだった。

途中で何台か、
車が通りすぎた。
ここは一応、道路から見れば
車の影になってたはずだから

見えてなかった、とは思うけど。

ヘッドライトが、
道端でキスする俺たちを
うっすらと照らし、

そしてすぐにまた暗闇に戻る。

落ち着かないその感じが
却って興奮に繋がって、
たかがキスなのに、
すげぇ、特別なことの気がして。

…こんなキスをしたら、
もうこのまま脱がせるしかないだろ、
というくらい、濃厚な流れで、

それでもその時、俺は酔ってなかったから
まだ自制心があって。

とりあえず、唇を、離す。

『…わるかったな。』

『うぅん…大人の、キス、嬉し。』

『そうか?』

『タバコの味。深いし。外だし。』

『…帰るぞ。』

『もう、帰る?』

『あぁ。今日は俺がお前の保護者だから。』

『…いいのに。』

『酔った勢いは、ダメだって。
後悔すんの、お前だぞ。』

『キスはしたのに?』

…うぅ…反論できない…

とにかく助手席に座らせて、
車をスタートさせる。

『嶋田さん達に聞いたよ。
烏養さん、今、彼女、いないって。』

『それがどーした。』

『私、立候補したい。』

調子にのりそうな自分に言い聞かせる。

この間、嶋田達に言われた
"お前みたいなの、周囲にいないから
アヤにとっちゃ新鮮なんだろ。"

そしてさっき先輩に言われた
"若気のいたり、目が覚めるまで"

…多分、今日は特別だ。
父親とケンカして家を出てきて、
その父親なら許さないようなことを
あれこれ体験して、気持ちが高揚してる。

そんな非日常の一時の気の迷いで
のちのち後悔するようなこと、
させてたまるか。
わかっててそこにのっかったら、
俺、男としてサイテーだろ。

『俺じゃなくても…
お前なら、もっといるだろが。
歳が近いヤツとか、将来性のある男とか。』

『そういう人じゃないから、
烏養さんのことが、好き。』

…こりゃ、相当、重症か?…

『とにかく、今日はダメだ。
頭冷やして、もっかい、考えてみろ。』

『…可能性、0じゃないんだよね?』

『…どーだろな。』

それは、俺にもわからない。
むしろ、俺の心の問題かも。
頭冷やしてもっかい考える必要があるのは、
俺の方かもしんねぇ。


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