第3章 ~痛い、恋 ~ (烏養 繋心)
『じゃあ、このお金で…』
森島はニコッと笑って。
『晩御飯、一緒にどうかな?』
『…いつ?』
『今から!』
『今から?!』
『…今、家帰ったら、絶対、
父と一緒に食べないといけないし。』
『(笑)出たな、反抗期。』
『だって、うるさいんだもん、
もう学生じゃないんだから、
どこで誰と何時までいようが勝手でしょ?』
『そりゃ娘がかわいくて心配…
っていう親心、だろー。』
『それがうざいんだって!』
『やっぱ反抗期だな(笑)』
『ね、ご飯、ダメ?行きましょうよ!』
そこに、色恋の響きは全く感じず、
俺も、
彼女のことを"かわいい"、と思うけれど
今はどっちかといったら
"妹"とか"生徒"とか"親戚"
みたいな感覚のかわいさで、
だから、つい
『わかった。
でもオフクロさんには、ちゃんと連絡しとけよ。』
…年上ぶって、そんな忠告したりして。
『よかったぁ!どこにしましょーか?
この近くなら…おすわり?』
考える。
ちっちゃな街のことだ。
どこで誰に見られてるかわかんねぇ。
別にやましいことは何もねぇけど
…ねぇから、か。…
中途半端な噂とかたてられたら
何かと面倒くさいのは簡単に想像できる。
『お前、門限とかあんのか?』
『いい、気にしなくて。』
『そーいうわけにはいかないだろ。』
『…じゃ、日付が変わるまでに。』
『じゃあ、って何だよ(笑)
それならさ、ちょっとだけ出掛けるか。
俺、車、もってくっから、ちょい、待ち。』
…そう言って、ここから歩いてすぐの
大きな本屋で30分後に待ち合わせた。
一旦解散し、急いで家に戻る。
『あれ、繋心、もう帰ったんかい?』
『いや、またすぐ出る。俺、晩飯、いらねーわ。』
母ちゃんに声だけで返事しながら
さすがにこの格好はねぇな、と
(Tシャツに短パンにビーサン。
ほぼ、部屋着だ。)
ザーッとシャワーを浴びて着替えた。
意識してる、って感じにならねぇように、
…と意識して(笑)
そうはいっても、ジャージ以外に
そんなに、服、持ってねぇけど…
まぁまぁ新しい短パンに
(←結局、短パン 笑)
この間買ったTシャツに
(←結局、Tシャツ 笑)
履きやすくて気に入ってる
ピルゲン・チュドッグのサンダル
(←ビーサンじゃねぇから!)を履いて、
車で家を出た。