第3章 ~痛い、恋 ~ (烏養 繋心)
言い訳がましいけど、
田舎って、アウトドア以外の娯楽って
ホント、少ないんだぜ!
彼女でもいれば
どっか遠出のドライブとか
そういう展開もあるだろうけど、
あいにく、俺は相手ナシ。
で、その日、俺は休みだった。
家にいると母ちゃんにあれこれ
手伝い頼まれそうで、
烏野も町内会もバレーは休みで、
ぽっかりあいた時間、
一人で涼しく過ごせる場所を求めて
やってきたのが、顔馴染みのパチスロ屋。
(ま、結局、俺の定番の休みの過ごし方ってことだ。)
午前中、二時間、台に座って、
その日は絶好調だったので
台をキープしたまま
外のうどん屋でバッと昼飯食って、
どれ、戻って続きだ、
今日は負ける気、しねーなっ!
…とか思っていたら、
入り口の近くに、可愛い姉ちゃんがいた。
入りたいのか、入りたくないのか、
誰か探してんのかウロウロしてる。
あんまり見たらわりぃかな、と思って
シレッと横を通りすぎようとしたら
『ん?!』『あ!!』
『烏養さん?!なんでここに?』
ここは俺の"庭"だからな。
『そりゃ、こっちのセリフだろ!
森島こそ、なんでこんなとこに?』
まさか、俺に会いたくて?
…と一瞬、思ったけど、
やっぱ、そんな理由じゃなかった(笑)
『父とケンカをして…
家に居づらくて飛び出して来たんだけど
なんか、買い物とかする気分じゃなくて。
今まで父の思い通りになってきた自分に
腹がたつから、裏切ってみようと思ったら、
手近なところで、パチンコかな…って、』
ククク…
申し訳ないけど、笑ってしまった。
『…おかしい?』
『いや、うん、わりぃ、わりぃ。
遅れてきた反抗期、ってとこだな。』
『…』
何があったかなんてことに
俺は一切、興味はねぇけど、
こういうのは、慣れてる。
だって、思春期真っ只中の男子高校生と
毎日毎日、顔、突き合わせてるからな。
『1回も、したこと、ねーの?』
『ない。』
大事に大事に育てられたんだろなぁ。
本気で道を外さないためにも、
余白は必要だと、俺は、思うタイプ。
…俺の人生、余白ばっかりだけど(笑)
『…やってみるか?』
『?!』
『パチンコじゃなくてパチスロでよけりゃ、
俺のLUCKY、わけてやるよ。』
『…パチンコとパチスロ、違うの?』
『(笑)とりあえず、来い!』