第3章 ~痛い、恋 ~ (烏養 繋心)
『…ほぇ?』
間抜けな俺の声に二人は大笑い
…かと思ったら、笑わなかった。
それが却って、
コトの真剣さを伝えるようで、困る。
『…普通に考えて、おかしいだろ?』
『だよな。
俺らも最初はちゃんと反対したんだぞ。』
『だけど、アヤ、諦めなくてさ。』
ん?
ちょっと待て。
"だよな"って、そこ、違うだろ?
しかも、
"ちゃんと反対"とか
"諦めなくて"とかって
それはそれでおかしいくないか?
お前ら、どっちの味方だ?!
…とかいう突っ込みは、
とりあえずさておき、
『お前ら、自分だったらどーよ?
俺的には、
ワナか何かとしか思えないくらい
有り得ない気がしてるんだけど?!』
『んー、年上の男が
魅力的に見えるお年頃なのかもな。』
『アヤ、銀行員だからさ、周囲に
真面目な人間が多いんじゃねーの?』
『…俺とは正反対の、ってか?』
『そうそう。』
『確かにそういう男と比べたら、
繋心は新鮮に見えるだろうなぁ。』
『金髪だし、タバコもパチスロも大好き、
独身、仕事も自由でバレーし放題…なんて
確かにアヤの周りにはいなさそうだ。』
『羨ましいほどの自由人。』
なあ、だな、アハハハハ
…と、楽しそうに笑う嶋田と滝ノ上が
本当に憎たらしく見えてきた…
『おい、もしかしてお前ら、
俺のコト、バカにしてんのか?!』
ピタリ、と、二人の笑い声が止まる。
『ス、スマン!』
『つい、酔いに任せて調子にのった!
マジ、ごめん。』
『いーやいやいや、構わねぇよ。
確かに俺は、言われた通りの男だし、
自由人な生活を手離すつもりはねぇ。
アヤにもハッキリ言ってやれよ、
俺とつきあっても何の得もねぇぞ、って。』
『繋心、ごめんって!』
『俺らがそう思ってるだけで、』
思ってるんかいっっ!!
『アヤの気持ちは、違うはずだから!
せめて1回、二人で会ってやって!』
『ワリィが断る。時間の無駄だろ。
本人から何も言われてないのに
俺が断るのもヘンな話だから、
勝手に引き受けてきたお前らが
なんか適当に理由つけて断ってくれよ。
俺は、聞いてねぇことにすっぞ。』
『そんな断り方したら、
同じチームに居づらくねぇか?』
『誰が?』
『お前が。』
『なーんでだよっ!
今まで通りでいいじゃねーか!』