第3章 ~痛い、恋 ~ (烏養 繋心)
『違う違う、なんで武田先生だよ(笑)』
『お前らが怪しいこと言うからだろ!』
『ちがくてさ、』
『まぁまぁ、繋心、も一杯、飲め。』
…カラン、コプコプコプ。
からっぽだったグラスに、氷と焼酎。
ほら、と差し出されて、
しょうがないから、ぐいっと一口、飲む。
『…で?なんだよ?』
滝ノ上と嶋田は二人で目を合わせて
"どっちが言う?"みたいな顔をし、
"お前、言えよ、いや、お前が…"
みたいな無言のやり取りをしてる。
何が言いたいか知らねぇけど
その様子がおかしくて、
こっちから仕掛けてやった。
『用がねぇなら、帰るぞ?』
『『イヤイヤイヤイヤ!』』
二人して声を揃えて慌ててる。
ヘンなヤツラだ(笑)
『じゃ、なんだよ?』
観念したように、
滝ノ上がポロっと言った。
『繋心、お前、アヤ、どう思う?』
『…どのアヤだ?』
『町内会チームのマネージャーのアヤだよ。』
『あぁ、あのアヤか。』
今日の練習にも、いた。
一番最初に思ったこと。
『…若いな。』
『そーだけどさ、他には?』
『他?んー、ま、かわいいんじゃねーの?
よく気も利くし。…え?滝ノ上まさかお前、
妻子ある身でアヤのことが好きとか…』
『『イヤイヤイヤイヤ』』
また、二人が声をあわせて答える。
今度は顔の前で手を振る仕草まで
揃ってるから、気持ちワリイ(笑)
…おもしろいっちゃ、おもしろいケド。
『嫁を怒らしてまで恋愛なんて、
もう、とてもじゃねーけど無理!』
『…じゃ、なんだ?』
『俺ら、ちょっと前からさ、
アヤに、相談されてて。』
『何を?』
『繋心、つきあってるヤツ、いるかって。』
『何で?』
『何で、じゃねーだろ?!』
『わかれよ!』
わかるか、バーカ。…これは心の声(笑)
『わかんねーよ、だって俺、
他人の恋愛、興味ねぇもん。
若いもん同士、どーぞご自由に、って。』
『若いもん同士、じゃなくてさっ、』
『あー、鈍感ヤロウ!アヤは、』
『繋心、お前のことが』
『『気になるんだってさ!』』
またまた声を揃えた二人を
"漫才コンビみてぇだな"と思いながら
返事をする。
『へぇ、そうなのか。……………ほぇ?!』
あまりに驚いて、
へんな声が、出た。