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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)



年明け。
綾ちゃんは、
国家試験に合格したらしい。

…らしい、というのは、
俺が直接、聞いたわけじゃなく、
木兎からの情報だからだ。

俺は、あの日以来、一切、
綾ちゃんと連絡をとってない。
別に、気まずいとかいうわけじゃなく、
中途半端な会話をする自信がないから。

例えば
『合格した』と言われたとして、
『おめでとう』の次に
何を言っていいのかわからないんだ。

『お互い、頑張ろうね。』だけでは
冷たい気がするし、

『じゃ、お祝いに飯に行こう!』と
誘ったりすると、その食事の席で
どんな話をすればいいのか…
もし好きだった気持ちが再燃でもしたら、
それこそ、どうしていいかわからない。

こんな時に、
じゃんじゃん行動するのが、木兎。

試験の前日には、直接電話して
"頑張れエール"を送ったらしいし、
合格発表の日にも、直接電話して
"合格だった"と教えてもらったらしい。

合格したことを俺に伝えた木兎は、
まるで自分が合格したかのような
賑やかな喜びようで、

『よしオイカワ、綾の合格祝いに
飯食いに行こうぜー!』と誘ってきた。

『…俺は、いいや。』と、
珍しく遠慮する俺に向かって、
これまた珍しく、木兎は強く、言った。

『だぁめだって!
遠慮してたらいつまでたっても気まずいだろ。
1回、サクッと会って話せよ。
いいじゃん、俺も一緒だし、
今回は"合格祝い"っていう
立派な理由があるんだしさ。』

そう言って譲らない木兎に根負けして
『じゃ、日程があえば、行く。』と
約束した。(させられた。)

もし会ったら、
どんな顔で話せばいいんだろう。

俺達が出会った頃…
木兎と綾ちゃんがつきあう前みたいに、
3人でワイワイ、出来たら
…あの頃に戻れたら…いいのに。

木兎が騒いで、俺が突っ込んで、
綾ちゃんが笑ってた頃みたいに
"普通の友達"に戻れたら、
そしたらこれからも、ずーっと長く
俺も"大学時代に出会った仲間"で
いられるかな…

そんなことを考えたりした。

会いたいような、
会いたくないような。

待ち遠しいような、
怖いような。

懐かしいような、
まだ過去に出来てないような。

…考えるたびにそんな気分になって、
"これが、恋の後の感覚ってヤツ?"
と、思ったりした。


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