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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)



それにしても。

すべてが停滞していたあの時期は、
木兎の言う通り、

"人生のひと休み"期間だったのか。
それともやっぱり、
どこか"綾ちゃん優先"と
遠慮があったのか。

…あの日を境に
俺自身も
俺の周辺も急激に動きだし、
環境はガラッと変わった。

朝から晩まで、
バレーのことばかり考え、
暇さえあれば
どこででも誰とでも練習し、

木兎とはほとんど毎日会って
心身、技術、両方とも完全にリンクして
もう、影山も宮も怖くない。

俺は"及川徹"だよ、フフン。

…と思えるようになってすぐ、
プロチームからのスカウトもかかった。

木兎のヨントリーとは違うけど、
(俺は、マローズ。)
どちらもリーグの上位常連チームだから
きっとこれからしょっちゅう、
ネット越しに戦うチャンスがある。

木兎と敵同士になること?
全然、平気。
なぜなら…



『チーム、ジャパーーーン!』

うねるような男性DJの声が
体育館に響く。
それに応えるように、

『キャー!』
『ワー!』

…歓声と、空気を震わす大きな拍手。

そして、

『ボークートーくーん!』
『おいかわ、さぁん♥』

俺達の大好きな、女の子の歓声。
スタンドには、名前が書かれた
キラキラのウチワがたくさん揺れて。

『ね、コタローちゃん、
俺、JAPANデビューなのに、
俺の方が、うちわ、多いんじゃない?』

『なぁに言ってんだよ!
横断幕は、俺の方が多いからっ!』

『あれ、コタローちゃんが自分で作って
会社の人に持たせたんだよね?
同じ字のヤツがいっぱいあるじゃん(笑)』

『くーっ、さすが及川、バレてる(笑)』

…今は、
念願のJAPANのユニフォームを着て
同じコートで
木兎にトスをあげられるから。

岩ちゃん、マッキー、まっつん、お待たせ。
やっと期待に応えられる場所まで来たよ。
ここまで来たからには、
みんなの自慢になれるような結果、
必ず出すから。

そして、綾ちゃん。

もうすぐ試験のはずだから
俺のデビュー戦は
見てないかもしれないけど…

それでも、
ニュースとか新聞とかネットとか、
どこかで名前を聞いてもらえるくらい
頑張るからさ。

綾ちゃんも、
自分に自信もてる結果、出すんだよ。

それが、俺たち三人の
出会いの"意味"だから。

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