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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)



『…』

言いかけた『ありがとう』を飲み込む。

『じゃあな。さっさと立ち直って、
早く宮城までいいニュース、届けろよ、
じゃねぇと、もう待ちくたびれて
俺たちも、影山、応援するぞ!』

俺の肩をポン、と叩いて
そのまま通りすぎていく。

何か、言わないと。
ありがとうって言えなかった代わりに、
何か、伝えないと。

『…岩ちゃんの、バーカ。』

『ウルセェ、フラれ野郎!』

もう後ろ姿なのに、
岩ちゃんの苦笑した顔が見える気がした。

みんな、後ろ姿で去っていく。
綾ちゃんも、岩ちゃんも。

でも、俺は、置いていかれたわけじゃない。
みんな、それぞれの道に戻っただけ。
あとは、俺が、自分の道に踏み出せば
全てが、動き出す。

…それに、去っていくヤツだけじゃない。

『おぁ~、お待たせっ!』

俺を待ってくれてるヤツもいる。

『腹減った~!…あれ、岩っちは?』

『昼過ぎには宮城に着きたいからって
さっき帰った。
コタローちゃんによろしく、だって。』

『そっかぁ。』

…あっさりした返事。
冷たいわけじゃない。

『じゃ、次、ガッツリ、遊ぼ!
な、今度岩っちこっち来た時は
俺が東京、案内しちゃる!』

…もう、仲間。
相棒の相棒は、皆、相棒(笑)的な。

『んー、腹減った!いっただっきまーす!
あれ?オイカワ、そんだけ?』

『んー。あんま、食欲ないかな。』

…失恋したてだからね。
でも木兎は、そんなこと、
チラリとも考えてない顔で。

『女子みてーなオシャレな盛りつけだなぁ、
そーいうとこ、ホント、俺と違うわ。
…お、このサバ、うんめぇ!』

和食・洋食、関係なく
どーっさりと皿に盛られた料理に
くらいつく木兎を見てたら、
なんか、負けたくなくなってきて。

…こんなことで競ってどうする(笑)…

俺も追加で二皿(主に和食)とってきて
ようやく、食べ始めた。
一緒に戦うために、
まずは体力で追い付かないと。

そして、俺から、切り出す。

『ゆうべ、あれからさぁ、』

『んぁ?あれから?
岩っちと飲んだ。アイツ、酒、強ぇなぁ。
一緒に飲んでて楽しいわ!』

…違う。
君の話は、聞いてない(笑)

シリアスにならないように、
わざとハズしてくれてるのか、

それとも、
俺と綾ちゃんのその後に
ホントに興味、ないのか。

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