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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)



…あれもこれも、言わないと。

『綾ちゃん、』

『ん?』

『…俺が呼んだばっかりに
すっかり巻き添えくらわせちゃって、ごめん。』

『…うぅん。
どっちかっていったら、よかった。
光太郎君も及川君もいて、
第三者が…あれ?結局、名前、知らないままだ…』

『岩ちゃん?岩泉。』

『…岩泉君が客観的にいてくれて、
ちゃんと話し合えたから…
いずれ、こういう日が必要だったよね。』

こういう日。

誰の気持ちが
誰に向いているのかを
きちんと言葉にして
ちゃんと確認する、日。

綾ちゃんは、
まだ木兎のことも大好きで。
一方で木兎は綾ちゃんのことを
もう、一生ものの"仲間"だと思ってる。


俺は、
綾ちゃんのことが好きで、
綾ちゃんは俺のことを
大事な存在だと言ってくれた。


俺は、木兎に勝てないと思ってて、
木兎は俺に
『俺ら、同じじゃん。』と言った。
…そうだ、この言葉の意味、
まだ聞いてなかったな…


『…綾ちゃん、俺ら、これから、どうしよっか。』

視線がぶつかる。
反らせない。

お互いに、今、
この安らぎを失いたくないと
思っていることは確かなこと。

だけど、
その安らぎは、一歩間違えると
沼の底に沈んでいく
甘い罠だということも
気づいている。

反らせない視線が苦しくて、
両腕を差し出した。

『…ね、おいでよ…抱き締めさせて。』

小さなソファから静かに立ち上がり、
俺の両腕におさまって、
背中にギュッと抱きつく綾ちゃん。

…もちろん、俺も、抱き締めて。

離れたくない。

一緒にいると、
すごく、すごく、
優しくなれる。

悪魔みたいだった自分も、
そんな自分を傷付けていた牙や爪も、

全部、どっかにいってしまうくらい。

甘くて、
優しくて、
柔らかくて。

バレーで上を目指すより、
綾ちゃんの一番を目指す方が
ずっとずっと、簡単な気がする。

…わかってる。
いろいろ、わかってる。
だから、

『ね、綾ちゃん、』

『ん?』

耳元で囁きあう、
夢みたいな、言葉。

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