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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)



『なんで岩ちゃん、ここにいんのさ?』

岩ちゃんは腕組みしたまま、
怖い声で、ツラツラと話し始めた。

『いつまでたっても
及川が全日本入りしたっていうニュースが
宮城まで届かねぇから、』

…宮城まで、っていうか、
入ってないから、ねぇ。

『公開試合があるって聞いて
ちょっと様子見てくっか、って。』

…よりによって、今日、来たんだ。

『んで、一瞬、出てきたと思ったら、
なんだか、中学時代の影山みたいな
俺様なお前がいて、』

…岩ちゃん、ハッキリ言い過ぎ。

『何やってんだ?と思ったら、
引っ込んでそのまま終わった。』

…おっしゃる通りです、はい。

『…っていうか、お前、
あれでよく、強化組にいられるな。』

『…いつもじゃないし。
今日はたまたま、特別、調子悪かったんだよっ。
きっと岩ちゃんの呪いだねっ、うん。
岩ちゃん来てなかったら、もう少し…』

『…及川、お前、試合中、何、見てた?』

何見てたか、って?
…俺、何、見てたんだろ…

『ボールでもチームメイトでもなくて、
お前、何、見てたんだよ?』

ネットの向こうの、牛若と木兎を。
ベンチにいる、影山と宮を。
俺のことを見てくれない、観客を。
…そして、観客席のどこかにいるはずの、
綾ちゃんを。

つまり、
ボールでもチームメイトでもないものを、
…見てたんだな、俺。

『あんまりにもお前が別人みたいだったから、
ちょっと声かけようと思って。』

そこで木兎が口を開く。

『出待ちの女の子の中にさぁ、
明らかにファンとは違うヤローが
こえー顔して立ってっから、俺、声かけたんだぁ。』

…木兎は、いつもそうだ。
気になることは、スルー出来ない。

『したら、及川の元 相棒だ、
ちょっと会わせろって言うから。』

『…でもコタローちゃんもコタローちゃんだよ。
何もホテルまで連れてこなくても。
このフロア、部外者立ち入り禁止ゾーンじゃん!』

『なーんでさっ。
元相棒は部外者じゃねーし、
それに嬉しーだろっ?!
わざわざ宮城から来てくれてさ!
あかーしとか木葉なんか、
東京いてもなかなか来てくんねーのにっ。』

綾ちゃんが、おずおずと口を挟む。

『…あの、ごめんなさい。
私が一番、部外者、です…』

違う、違うよ。
綾ちゃんは、
俺が、呼んだんだから。

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