第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)
気づかない間に
真綿でゆっくりと
首を締められているような
息苦しさ。
静かに静かに暮れていき、
気付いた時には
真っ暗闇になっていたような
不安感。
…早く、
早く、俺をコートに立たせてくれ。
俺が一番、輝ける場所に。
俺が一番、輝いてる姿を
綾ちゃんに見せて、
『及川君は、すごい。』って
『及川君は、宝物だ。』って
認めてほしい。
人気も実力も
木兎に負けてない、という手応えが
欲しくて欲しくて、たまらない。
負けない。
負けない。
負けたくない。
負けたくない。
…怖い。
誰も俺のことを
見てくれなくなりそうで、
怖いよ。