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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)



それは、夏の終わりのこと。

毎年、この時期の
強化組・育成組の合同合宿の最終日、
全日本との練習試合がある。

今年は、
BSのスポーツチャンネルが
この試合の様子を収録放送するため、
観客席にギャラリーを入れての
公開試合になるらしい。

…木兎と別れてから、
綾ちゃんはすっかり
体育館には来なくなったし、
試合を見に来ることもなくなった。

『…合格してから、堂々と会いたい。』
と、やはりなんとなく、
木兎に会うのが気まずいみたいだ。

でも、今度の試合は規模が違う。
観客の数も多いし、
コートと観客席も離れてるから
木兎と目が合う心配もない。

『綾ちゃん、見に来ない?
来るなら、俺、席、取るよ?』

『うーん、そうだね…』

『忙しい?』

『時期的には、そうでもない。』

『試合、夜だよ?
夕方まで勉強してさ、夜、おいでよ。』

『いいのかな?』

『いいに決まってるじゃん!
…見たくない?見たいだろ?
JAPANのユニフォーム着たコタローちゃん。』

『ん、見てみたい。』

『ネットごしに、
俺とコタローちゃんが戦う姿なんて、
そう何度もは見られないと思うよ。
だってそのうち俺もJAPANだから。』

『相変わらず、自信たっぷり(笑)』

『だろ?(笑)
いやいやでもさ、やっぱ、
あのコタローちゃん見たら、
きっと、綾ちゃんもまた
ヤル気に火がつくって!

…ついでに俺も、
綾ちゃん来てくれたら、
テンション上がってさ、
ますます上にアピールできるかも。』

『そう?』

『うん。来ない?見においでよ!』

…木兎じゃなくてさ、俺を。
と、心の中でだけ小さく呟く。

『…邪魔に、ならないかな?』

『大丈夫、
コタローちゃんには内緒にしとくって。』

『…じゃなくて、及川君の。』

『俺?邪魔なわけ、ないじゃん!』


邪魔なわけ、ないじゃん。
綾ちゃんの前で木兎と対戦して、
それでカッコいいところを見せられたら
こんなに気持ちいいこと、ないだろ。

…そう思って誘った俺は、
バカだったのだろうか。

『じゃ、行こうかな。』

『おいで!チケット、1枚でいい?
自由席だから、席指定は出来ないけど…』

会場中の女の子の歓声と
綾ちゃんの応援があれば、
怖いものなんか、ない。

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