第1章 ～二番目の、恋～ (及川 徹)

そうやって、

お互いの邪魔にならない程度に
時々、一緒に飯を食ったり
そのまま朝まで一緒にいたり
…もちろん、一緒にいるだけじゃなくベッドイン…

そんな距離感をキープしたつきあいは
1ヶ月続き、2ヶ月続き…

自分でも驚くことに、
すごく、心が落ち着いている。

セフレちゃん達と連絡とりあうことも
すっかり、なくなった。

木兎に対する焦りも感じない。

"綾ちゃんに必要とされている"
…ということが、嬉しくて。
バレーも、一応、強化組に居続けてるし。
ライバルを蹴落とすことよりも、
求めてくれる人のそばにいる方が
自分の存在価値を感じられる。

甘くて、
緩くて、
静かで、
穏やかで、

"相棒の元カノ"という少しの背徳感も
ちょっとしたスパイスで。

見たいものしか、見ない。
見たくないものは、見ない。

俺は、俺。
何も変わってないから。

…むしろ、今の俺、
すごく普通の人間らしいはず。
悪魔みたいに嫉妬して、
自分まで傷付けてた頃より、
ずっとずっと、いい人だと思う。

心穏やかな日々。


…は、


長くは続かなかった。


きっかけは、
やっぱり、バレーだった。