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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)



考えてみれば、
それからの『半年』という時間は
確かに木兎が言ったとおり、

人生を左右する、
大切な毎日の繰り返しだった。

"仲間"が"ライバル"になり、
"同期生"が"社会人"への
切符を手に入れていく。

目標に向かって進むヤツ。
目標をクリアしてさらに先に行くヤツ。
目標を変更して
違う未来を掴みにいくヤツ。

進むのも、
止まるのも、
変えるのも、
全部、自分自身の決断。

綾ちゃんを自ら手離した木兎は
その決意の通り、ますます練習をし、
その分、ますます輝きも増して、
…ついにJAPANのメンバーの座を手に入れた。
まだ、スタメン確定ではないけれど、
きっとそう遠くない未来に
間違いなく、それも手に入れるだろう。

綾ちゃんは、
次こそ合格、を目指して頑張っている。
すごく、すごく、頑張っている。
それは、自分自身のためなのか、
それとも、
別れる時の約束をきちんと果たし
輝きを増す木兎に影響されて、なのかは
わからない。

俺?
俺は、

そんな綾ちゃんを支えることに
喜びを感じている。

前から思っていたとおり、
綾ちゃんの弱さのポイントが
あまりに俺と似ていて、
放っておけない、というか

よく分かる分、
構ってあげた時に、
"及川君、何でそんなにわかるの?!"と
びっくりされたり感謝されたりするのが
楽しくて、嬉しくて。

…もちろん、
バレーも大事だ。
ちゃんと、やってる。
そこら辺のヤツよりは、
はるかにちゃんと。

だけど、
JAPANに選ばれ、
プロ入りも決まった木兎は
学校の練習に来られないことも増え、

木兎以外のヤツにトスをあげるのは
別に俺じゃなくても
チームにたくさんセッターはいるから
そいつら後輩にも活躍の場を与えるのは
先輩の役目でもあるし…

"俺じゃなきゃ"という状況じゃないのが


…つまらないんだ、ハッキリ言って。


そういう意味では、
はるかに、綾ちゃんのサポートの方が
"俺じゃなきゃ"という手応えがある。

だから、
『一番大事なのは、勉強やバレー。
お互いに会うのは、その隙間の時間。』
と二人の間で決めてはいるけど、

俺の中では、
もはや優先順位はつけがたく。

その感覚は多分、
友情というより、
多分、"恋"というヤツに近くて。

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