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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)




『いーけど、難しいこと、聞くなよ?』

難しい、ような。
難しくない、ような。

『出会ったのが今じゃなければ
よかったのに、って思わない?』

『うーん…今じゃなかったらいつだ?

医者になってから?
大学入ってすぐ?
…どれも想像できねーや!

多分、ほかのタイミングじゃ
会う意味、なかったんだろーな。

ってか、
それ、考えてもしょーがなくね?
だってもう、会っちまったし
別れちまったんだもん!』

『…そうだよね。』

"会う意味"

…木兎は綾ちゃんを
女として花開かせ、
真剣に応援するために、
出会って別れて。

…俺が綾ちゃんと出会ったのにも
何か、意味があると思いたい。

『一応、言っておくけどさ、
俺、コタローちゃんと綾ちゃんの
真ん中の立場は変えないつもりだから。
もし綾ちゃんに
コタローちゃんのこと聞かれたら
教えちゃうけどいいよね?』

『あぁ、いいぜぇ。でも俺、
オイカワにいちいち聞かなくても
自然に耳に届いちゃうくらい、
大活躍するつもりでいるけどっ。』

『そんなんだけじゃなくてさ、
"もう、新しい彼女、できてるよ"とか。
"合コン三昧みたいだよ"とかの
プライベート情報も…』

軽い冗談のつもり。

『なんだそれ(笑)
別に何言っても、俺はかまわねぇよ。
だけどさ、』

木兎は笑って答えたけど、
その次の言葉は、こっちを見て、
笑顔ではなく、すごく、真剣に。

『綾の心、乱すのは、絶対、止めとけよ?』

その言葉に込められた迫力に、驚く。
…すごく、男気のある、優しさ。

『…当たり前じゃん。』

"おはよーございまーす!"
"あ、先輩、もう来てる!"

少しずつ、
体育館が賑やかになってきた。

ゆうべ、
それまでとは明らかに状況がかわって
それぞれの一晩を過ごした俺と木兎にも、
それぞれ、同じように朝が来て。

いつもと同じ毎日が始まる。


『…っつーことで、
この話はこれでおしまい、な。
さぁて、練習、練習。
今日もサイコーのトス、ヨロシクッ!』


…その日以来、
木兎が俺に綾ちゃんのことを
聞いたりしてくることは、
ほとんどなくなった。

多分、
"もう忘れたから"じゃない。

"忘れるために努力してる"
…からなんだと、思う。

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