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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)



『…それ、光太郎君、許してくれるかな…』

『だって、俺、コタローちゃんに
綾を頼む、って言われたんだよ?
それにさ、
コタローちゃんは綾ちゃんにも
ずっと仲間だ、って言ってたんだよね?』

『言ってた。』

…ズルいとわかってるけど、
木兎の名前を出してしまう。

『きっとコタローちゃんだって
これからも、綾ちゃんの近況
知りたいはずだよ。
…俺が、ちゃんと伝えるから。
綾ちゃん、頑張ってるよ、とか
春になったらさ、合格したよ、とかさ。
木兎も今からきっといろいろガラッと
環境、かわっていくはずだから。

綾ちゃんが気になることがあれば、
俺が教えてあげる。

大きい試合とかの時は、
息抜きに見に来たらいいじゃん。
綾ちゃんもよく知ってるだろ?
試合の時のコタローちゃんは特別だから。
見たら、きっと気合い入るって、絶対。』

わかってる。
無駄に言葉が多い、って自覚がある。
多分、今までで一番、イッキに喋った。

だけど、繋がないと。
このまま外に出て陽の光を浴びたら
…失った太陽への想いを閉ざされたら…
これで終わりになってしまいそうで。

"朝"と"夜"の繋ぎ目を。
"友達"という名の曖昧な繋がりを。

『…心強いけど…でも私、甘えそう…』

甘えてよ、と、ホントは言いたいけど。
俺がちゃんと支える、と言うべきだと
わかってるんだけど。

『…俺の方が、甘えそうな気がする…』

一瞬、キョトン、として、
そして
ケラケラケラっと笑う綾ちゃん。

『及川君、それ、ダメじゃん!
それ言われたら、
あたし、甘えられないっ。
しっかりしなくちゃいけなくなるっ!』

そもそもしっかり者の彼女。
失恋して弱っているとはいえ、
きっとその気持ちは、失ってないから。

『本当のこと言うとさ、
俺もどーしていいかわかんなくて。
急にコタローちゃんと綾ちゃんが
プッツリ切れちゃったら、俺、どうやって
コタローちゃんをフォローしていいか
想像つかない。』

それは、ちょっとウソだけど。
コートの中の木兎のことなら
どうにでもフォローできる。
絶好調でも絶不調でも。
…それは、
"スターの相棒"である俺の一番の仕事。

だけど、今は、とにかく、繋ぎたい。

…俺自身のために。

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