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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)



…右手の違和感で目が覚める。

まだ眠ってる彼女。
起こすのがもったいなくて、
ほんの少しだけ、腕を動かした。

血が流れる感覚と同時に
鈍い痺れが指先に走る。

腕枕。
…そういえば今まで、したことないな。
ラブラブなイメージしかなかったけど
現実は案外、勝手悪いもんだ。

ゆっくり指を曲げ伸ばししてみると
チリチリとした痛みを感じる。

だけど全然嫌じゃない。
どちらかといえば、甘い感じの痛み。

…あんだけ遊びでセックスしてきたのに、
まだ、知らないことだらけだな…

思いきり、頭をのけぞらせて
枕元の時計を見る。
デジタルの数字は、5:20。
起こすには早いか。

無防備な寝顔を見ながら、
昨日の事を思い出していた。

赤葦君達に呼び出されて、
木兎と綾ちゃんの別れを見て、
木兎に綾ちゃんを託されて、
泣く綾ちゃんを慰めて、
カラオケに行くはすだったのに
途中でここ…ラブホ…に誘われて

そして、抱いた。

…いろいろありすぎて、
たった一晩の出来事とは思えない。

俺は、いい。
自分の想いをさらけだしただけ。

だけど、
綾ちゃん、後悔しないだろうか?

そもそも、
なりゆき、ちゃんと覚えてるのか?
裸でこうやって寝てることを、
俺がムリヤリそうした、とかって
思われたら、悲しすぎるぞ…

そんなことを考えながら、
寝顔にかかる長い黒髪に触れる。

ずっと見てるだけだった人が、
俺のすぐ横で、すやすやと眠ってる。

本当に、すやすやと。

…よかった。
悲しい夢を見てる感じじゃなくて。
夢の中じゃ、助けてあげられない。

これまで気持ちを抑えてきた分、
今はこの幸せを独占したくて、
頬に触れてみたり
まつげや唇を撫でてみたりした。

目が覚めた時、
どんな顔、するんだろ。

驚いた顔なのか、
微笑んだ顔なのか、
ぼんやりした顔なのか、
恥ずかしそうな顔なのか、
バツが悪いような顔なのか、

想像もつかなくて。

まだ、
『トオル』って呼んでくれるかな?
まだ、
『綾』って呼んでいいのかな?

寝顔を見てるだけなのに、
次々といろんなことが思い浮かんで
全然、退屈しないんだ。


心が、甘い。
今なら、
誰にでも優しくできそうな気がする。

そして、怖い。
彼女が俺の前から消えてしまったら。

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