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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)



くったり…
俺にしがみついたまま
離れない綾ちゃん。

『…ごめん、ちょっと激しかった?』

顔を俺の肩に埋めたまま
ううん、と首を横に振る。

『恥ずかしいけど…』

『ん?』

『3か月ぶりなの。』

『なにが?』

『…セックス。
ずっと光太郎君とも会ってなくて。』

『…そっか。』

『…でも、あたしより、
光太郎君の方が、我慢してたよね。』

…慰めや、その場しのぎみたいな
中途半端な返事は、出来ない。

『どう、かな…』

『…今ごろ、光太郎君、誰か女の人を抱…』

ダメだ、ダメ。
そういう想像は、ダメ。

『少なくとも今夜は
赤葦君たちと朝まで飲んでる。
うん、間違いない。』

『…なのにあたしは、こーやって及川君と…』

ほんの何時間か前。
別れ際を思い出す。

『綾を頼むな。』
『もう綾は俺の女じゃないから。
どーするかは二人で考えろよ。』

きっと木兎は、
俺が綾ちゃんとこうなることを
少なからず、予想してたはずだ。

独りぼっちで落ち込ませるより、
俺に預けた方が、ずっと安心だと。
…他の男より、俺の方が安心だと。

そう思うのは、俺の身勝手だろうか…

『コタローちゃんは、男だから。
綾ちゃんとは違うよ。』

…何が違うか、と聞かれても困る。
でも、他に答えようがなくて。

さっきみたいに笑ったり、
今みたいに落ち込んだり。
気持ちの乱高下が激しい様子で
改めて思い出す。

そうなんだよな、
俺は嬉しくて、つい、
身体に溺れてしまいそうになるけど、
綾ちゃんは失恋したばかり…

『…少し、眠る?』

『やだ。』

俺の肩で頭を左右に激しく振る。

『やだ。眠らない。眠れない。…ね、及川君、』

『…なに?』

『お願い…この先、半年分、抱いて。
今夜を逃したら、
もう、当分、独りぼっちだもん。
明日から、ちゃんと頑張るから。』

…今さら、口出すことじゃないけどさ、

木兎、
別れなくてもよかったんじゃねーか?
こんな切なさと引き換えに
どんだけ独りで頑張れって言える?

な、
"楽しく生きようぜ~"って
いつも言ってるお前が、
なんで綾ちゃんを独りにする?

そばで、応援してやれよ。
綾ちゃんなら、
来年はきっと、合格できるって。

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