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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)



キスをほどいて
チラリと顔を見ると
綾ちゃんは、俺の手を見ていた。

次に何をされるか、
見守ってる、という感じ。

…もう、覚悟は決まってるんだな…
後戻りなど微塵も考えていない
迷いのない表情を見たら、

『ホントにいいの?』

…なんて生ぬるい質問は、出来なかった。

ベッドの縁に腰かけさせ、
俺はベッドの下に膝まずいて
綾ちゃんのバスローブの合わせ目に
手をかける。

これを開けば、
バストが現れるわけで、

そしたら完全に一線を越える。
さっきまで、
仲間の…親友の…彼女だった人と。

女癖がいいとはいえない自覚のある俺も
さすがに
仲間の彼女を寝取ったことはなくて
(ついさっき別れたんだから、
もう彼女じゃないけど。)
ちょっとした罪悪感は否めない。

イッキになだれ込んでいいものか?
性急すぎないか?
ガッついてるように思われないか?

何がブレーキになってるかといえば、

このタイミングで浮かぶ顔。
…木兎は、アレ、したのか?

『あのさ、』

『…ぇ?な、に?』

急に俺の手が止まって話しかけたから
綾ちゃん、戸惑った声。

つい、気になっていたことを口走る。

『お医者さんごっこ…』

バカっ、状況考えろ、俺っ!!

『お医者さんごっこ?』

…うっ…今まで生きてきた中で
一番"なかったこと"にしたい事態…

『…及川君、お医者さんごっこ、したいの?』

違うっ!
ご、誤解を解かねばっ!
しかしそのためには、また、
あの恥ずかしい言葉を口にしなくてはっ!
現在、史上最悪の自己嫌悪っ!
だが、自己撤回以外の道、なしっ!

よって、
再び、言うはめに…

『お、俺はゼンッゼン、そういう"なんとかごっこ"とか興味ないしフツーが一番好きだし。いや、俺じゃなくてさ、木兎と、その、"お医者さんごっこ"とかしたのかな~、なんてチラッと思ったりして、いやいや、チラッとだよ、別に変なこと想像したりしてないし、答えなくていいよ、うん、ごめんごめん。』

…ムードもなにも、
あったもんじゃない。
どーすんだ、この空気。

終わったな、俺。
ごめんね、綾ちゃん。
及川 徹、まさかの不戦敗…

我ながら残念すぎて
ガックシと肩を落とす俺。

そこに聞こえた綾ちゃんの言葉。

『答えて、いいの?』

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