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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)



出来るだけ感情のないキスを…

そう思って、
上にのしかかった。

腹をくくる。
愛のないセックスは、得意なはずだ。

いつもの遊びのセックスのように
順番も優しさも関係なく
唇をあわせようとした時、

綾ちゃんが
俺の背中に両腕をまわし、
ふんわりと、抱き締められる。

…ぅ、ぁ…

心臓が、痺れた。
柔らかくて、優しくて。

息が、止まりそうだ。

俺は、こんなに風に
誰かに触れたことがあっただろうか。

綾ちゃんはいつも、
木兎にこんなに優しく触れてた?

木兎、幸せなヤツ。
こんなに愛されて。

…木兎も、
綾ちゃん手離すの、辛かっただろうな…

心の殻が崩れていく。

うまく出来てないかもしれないけど…
綾ちゃんの真似をして、
同じくらい柔らかく抱き締め返した。

ふぅ。

俺の胸のなかで
大きく息を吸った綾ちゃん。

『優しい香り…』

木兎とは、違うよね。
アイツはすごく、華やかな香り。

『…及川君、ごめんね。』

『…なにが?』

『すごく、辛そうな顔、してる。
…無理なお願いしちゃったね。』

見透かされてる。
だけどもう、今となっては、俺の方が、
綾ちゃんを…この安らぎを…
離したくなくて。

今さらだけど、俺も、
誰かを
愛したいし、愛されたいと思った。

俺みたいなヤツにも、出来るかな?
誰かに優しく触れること。
誰かを愛しいと思うこと。

…誰かを大切にしてみたい。

『綾ちゃん、』

抱き締めあったまま、話しかける。

『ん?』

『俺みたいな遊び人に抱かれて、後悔しない?』

『…及川君は、遊び人じゃない。
そんなこと言うのは、何も知らない人。
及川君は、すごく優しくて、我慢強くて
おもしろくて、ちょっと寂しがりで
とっても強がりで、ストイックな人。

…だから、及川君が、いいの。
及川君にしか、頼めない。
及川君じゃなくちゃ、イヤなの。
勝手言って、ごめんね。』

ヤバイ。
泣きそうだ。

"俺"を求めてもらえたことが、
例え身代わりでも、嬉しくて。

世界一、優しく抱く。
今夜だけでも、かまわない。

『綾ちゃん、』

抱擁を解いて、抱き起こす。

『シャワー浴びてさ、
泣いた跡、消しておいで。
リセットしよう、二人で。』


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