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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)




綾ちゃんに掴まれていた手を
一旦、振りほどく。

そして、
今度は俺から手首を掴んで、

黙って。
中へ。

俺が勝手に部屋を選び、
ずんずん、歩いていく。

ドアを開け、中へ。
ドアの閉まる音…ロック。

密室に、二人。

何も言わない綾ちゃん。

多分、少し怖いはず。
さっきまでの優しい俺とは
別人だから。

でも、
そのくらいの覚悟はもってもらわないと。

男と別れてすぐ、
その友達に身を委ねたいと
自分から言い出したんだから。

つきあう男と
初めてするセックスとはわけが違う、と、
ちゃんと、自覚してほしい。

呼べばすぐに駆けつけてきて
すぐに股を開くセフレ達とは違うだろ?

快感が欲しくて
俺を誘ったわけじゃないんだろ?

自分の中で、ケリをつけたくて
俺を誘ったんだろ?

"他の男に抱かれた"という事実で
木兎への気持ちを終わらせるために
俺を誘ったんだろ?


…ハッとする。


今まで、セフレちゃんのことを
"都合のいい女達"だと思ってたけど、

結局、彼女達にとって俺も
都合のいい男、だったんだな…


俺がちゃんと誰かを本気で愛しておけば、
こんな役回りはきっとこなかった。

逃げても、結局、自分が辛いだけだと、
今、気付いたけど、もう遅い。

カッコ良く別れていった木兎の後処理係。

心のスイッチをオフにして、
誰の想い出にも残らない
嬉しくも悲しくもないセックスを。

真っ白いシーツが眩しい大きなベッドに
綾ちゃんを、押し倒した。


女の気持ち、わからない。
まだ好きな男がいるのに、
どうして他の男に抱かれようとする?
それで忘れられるはず、ないだろ?

…それほど好きだ、ってことだろ?


男としてはラッキーなはずなのに
こんなに悲しいのは、

綾ちゃんの気持ちに
シンクロしてるからだ。

愛してない男に抱かれる彼女。
愛してくれない女を抱く、俺。

悲しみのベクトルが、同じで。

見下ろした彼女が、
自分の姿に見えた。

悲しくて、
寂しくて、

一人になりたくなくて。

…どうなるんだろうな、俺達。
俺と綾ちゃんも、
今夜で終わるんだろうか。

やっと、木兎の女じゃなくなったのに。
一回セックスして、終わるんだろうか。

…笑える。
俺らしくて、涙が出るや。

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