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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)



『俺は、コタローちゃんじゃないよ。』

そう言った俺に、綾ちゃんは

『…むしろ、全然違う人じゃなきゃ、
意味ないから、だから…ね、お願い。』

全然違う男に抱かれて、
ますます木兎のことを思い出してしまう、
という展開もあるだろう。

いや、むしろそっちだ。
どんなに俺が
優しくしようが、
激しくしようが、
イかせようが、

きっと心の中では、
木兎と比べるに違いない。

でも、もう。

俺の手を掴んで離さない綾ちゃん。
思い付きとはいえ、覚悟は固そうで。

途中で「やっぱりイヤ」とかナシだよ?
綾ちゃんが思ってるような
俺じゃないかもしれないよ?

…そんなことさえ聞けないほど
その手に込められた力は強く。

『…俺のこと、』

『ん?』

"優しい友達だと思ってるなら
大間違いだからね。
ホントは悪魔みたいな男だから。"

本当はそう言いたかったけど、
出てきた言葉は、全然、違って。

『気持ちよすぎて、
俺のトリコになっても知らないよ?』

精一杯の、俺の強がりを。

綾ちゃんを抱けるチャンスなのに
いざとなると怖くてたまらない、
自分をごまかすように。

『…うん。溺れないように、気を付ける。
じゃないと、
光太郎君と別れた意味、ないもんね。』

パチン。

瞬間、嫉妬のスイッチが入った。

ほら、もう、木兎の名前、言うじゃん。なんだよ、最初から俺を好きにならない前提なわけ?俺に、俺のセックスに溺れないなんてそれほど、自制心、あんのかよ?

上等。
木兎よりいい、って
言わせてやろーじゃん。

こんなの初めて、って
お願い、また明日も抱いて、って
言わせてやろーじゃん。

それとも、
もう、やめて、って
こんなこと頼んでごめんなさい、許して、って
後悔させてやろーか?

…やっぱり木兎がいい、って
思い知らせてやろーか?
泣きながら電話かけて
木兎に迎えに来てもらえばいい。


激しく心が渦巻いて、
自分の気持ちがわからない。
わかってるのは、1つだけ。

木兎を意識してるのは、
綾ちゃんより、俺の方だ。

なるように、なれ。
どうせ俺のものにはならない心。

一晩、ヤれて、ラッキー。
それでいいじゃん。

…オセロのように
白と黒がパタパタと入れ替わる心を
自分でコントロールできなくて。

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