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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)




『無茶苦茶だってわかってるけど、
及川君にしか、頼めない。
…光太郎君が、前に、言ってた。
及川君は本命の彼女は作らない、って。
彼女、いないんだったら…
私を抱いても、誰も悲しまないよね?』

『綾ちゃん、それとこれとは…』

『私は、そういう対象には見れない?』

『いや、そうじゃなくて、』

そうじゃなくて。

『…なげやりは、よくないよ。』

あんだけさんざん、セフレと遊んでおきながら、
俺が偉そうなこと言える立場じゃないけれど。

『なげやりじゃないもん。
…光太郎君を、忘れさせてほしいの。
光太郎君のこと、ハッキリ終わりにして
明日から、ちゃんと新しい自分になる。
そのために、ケリ、つけさせて。
…お願い、及川君。
優しくしなくていいよ。
やりたいようにしてくれていい。』

『そんなわけには…』

『だって及川君、
さっき、自分で言ったじゃない?
"俺達、ヤりたい盛り"って。
ナンパした女の子と思って、
気軽に、適当に、使い捨てで、いい。』

気軽に。
適当に。
使い捨て。

…いつも遊びで抱く女の子は
まさにそんな感じなんだけど、
改めて言葉にされると、俺、ヒドい…

『…綾ちゃん、頭、冷やそ。』

『やだ…ね、あんな、』

俺達の横を、
いかにもエンコーみたいなおっさんとギャルが
腕を組みながら通りすぎてホテルに入っていく。

『…あんな感じでいいから。』

そんなこと、できるわけないだろ。

『…光太郎君、別れ際に言ってた。
一回、及川君誘惑してみな、って。』

『それは、ほら、綾ちゃんを笑わせようと…』

『私じゃダメ?
医者だけじゃなくて、女としても不合格?』

…正常な心の状態では、ないと思う。
けど、そうだからこその、本音。

『…お願い。』

綾ちゃんが、俺の手を掴んだ。

『…言っとくけど、
俺は、コタローちゃんじゃないよ?』

そう頼んだって、絶対、比べるに決まってる。

キスの仕方も、
愛撫の仕方も、
愛し方の順番も、

手触りも、
背中の広さも、
汗のかき方も、
モノの大きさだって、

きっといちいち、
心のなかで、木兎と比べる。

…身代わり。
本命の女がいない男はいつも、
誰かの身代わりだ。

それが気楽でいいと思ってきたのに、


今日は、苦しい。
自業自得。

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