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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)




泣き止まない綾ちゃんの背中を、
子供をあやすようにそっと撫でながら、
ふと思った。


木葉君は
「木兎は女の子を泣かさない別れ方をする」
…って言ってたけど、それは多分、違う。

木兎がいる時は、
眩しさで自分の気持ちに気づかないから
泣いたりしないけど、

光が消えた暗さに気づいてから、
きっとみんな、後で泣いてる。

眩しかった分、守られてた分、
急に一人になって、前が見えなくて。

それでもみんな、
木兎を悪く言わないのは、

きっと、
木兎が一人一人の心に必ず、

未来を残して
いなくなるから。

『この先もずっと仲間でいようぜ』って。

みんな、木兎と、仲間でいたい。
暗い時ほど、光は、希望だ。

それがわかってるから、
木兎は木兎で、
出会った人みんなを
ずっと照らし続けられるよう、
いつも潔いほど全力で。

俺も、綾ちゃんも、
その木兎の光に引き寄せられた。



だから、




『綾ちゃん、』

『…ん?』

グズッ、という鼻水の後に、
くぐもった声。

『…綾ちゃん泣かせるな、って、
俺、木兎に文句言ってあげようか?』

もう1度、
グズッ、という音の後、
涙声で、

『ううん、違う。
光太郎君は、全然、悪くない。
私がもうちょっと、頑張ればよかっただけ。
光太郎君は、優しすぎたくらい。』


ほらね。
誰も、木兎を嫌いにならない。


『…そっか。』


やっぱり、
木兎が、一番、なんだよな…


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