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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)



『なんかね、会った時には
思ってもみない展開になったのに、
心は全然、枯れてなくて。
むしろスッキリしてるうえに
ヤル気までわいて。

…名医だな、と思ったの。
私の心の弱ってるところを
痛みもなく取り除いてくれて、
そこに覚悟や希望を移植してくれて。

やっぱり光太郎君はすごい人だ、
って思ってたら、最後の最後に、
"先のことはわかんねーけど、
これだけは覚えといて"、って、』

木兎は、綾ちゃんのおでこを
ツンツンとつついて。
…俺が向かいの店から見ていて
"プロポーズしてんじゃないか"と
思った、あの場面…

『俺ら、嫌いで別れるわけじゃねーだろ?
だからこの先、もし、もう
つき合うことがなかったとしても、
仲間でいような。』

ギュッ、と、握手して。

『早くスポーツドクターになれ。
そんで、JAPANに来い。
綾が、
俺やオイカワが世界と戦うための
味方になってくれたら、俺ら、最強。』

手の甲に、キスを。

『そしたら、綾のこの手に、
金メダルを握らせるって、約束する。』

そして、頬をそっと包み。

『…だから、最後に1個だけ、
俺のワガママ、聞いてくんねーかな?
…俺と出会えてよかった、って、
綾の声で、聞かせて。』

この時だけ、綾ちゃんは
一瞬、泣きそうになったそうだ。

『…光太郎君と出会えて、よかった。
ホントに、ホントに、そう思う。
必ず光太郎君の
役にたてる医者になるって約束する。』

『…あー、よかった!』

木兎は嬉しそうに笑って。

『綾と一緒に世界を目指す日、
待ってるから。早く来いよ!』

…触れていたすべてが離れる。
そして去り際、

『なんかあったら、オイカワに相談しな。
俺は綾をひっぱりまわしてたけど…
アイツなら、綾を、
上手く支えてくれるはずだから。

…でも言っとくけど、
寝技は俺の方が上手いぜ、多分。
一回、オイカワ誘惑して試してみろよ!
…結果は、いつかこっそり、聞かせて!』

と、
最後の最後まで綾ちゃんを笑わせ、
そして、
迎えが来るからここで待ってろ…
と言い残し、店を出ていったらしい。

『…というわけで、不思議なの。
別れたのに、希望しか見えない。』


…木兎。勝てない。完璧すぎるだろ…


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