第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)
そうそう、女。
俺と木兎が友達でいられるのは、
女の好みが正反対なのも
きっと理由のひとつだ。
木兎は、
明るくて元気な子がタイプ。
気軽に声をかけて、
いつの間にか付き合いにもっていく。
駆け引きなんか、必要ナシ。
『とりあえず、寝てみない?』なんて
イキナリ露骨に誘ったりもする。
もちろん、
その規格外なエネルギーや
思考回路についていける相手は
なかなかいないから、
別れることも多いようだけど…
不思議と相手に恨まれない性格で、
別れてから、木兎を悪く言う話を
聞いたことがない。(羨ましい…)
俺の好みは…誤解を恐れずに言うと…
『俺の都合にあわせてくれる女』。
"バレーと私、どっちが大事?"とか
言わない女。
もちろん、
"私以外の女の子を見ないで!"とか
言わない女。
"バレーをしてる及川徹"は特別だ、と
思わせてくれる女。
でも、
"バレーをしてる及川徹"でない時間も
俺を変わらず愛してくれる女。
…病んでる、とか言わないでほしい。
わかってる。岩ちゃんにもさんざん
『鬼畜ヤロー』って怒られてきた。
でも、
バレーより大事に、なんて無理だから。
だから、決まった彼女は作らない。
少なくとも今は、
それでも女には不自由してない。
『彼女じゃなくていいから』…って
俺とデートしたい女も、抱いてほしい女も
順番待ちでたくさんいるから。
そんで、
今、かなり、
充実してっから。
『なーっ、及川っっ!
明日、なに着てくんのっ?
ジャージじゃねーよなっ?
パンツ、何枚、持ってくるっ?』
ほーら、ワクワクが全身から
こぼれてるヤツが来た。
『コタローちゃん、ジャージはダメだよ!
"エースの心得Tシャツ"も禁止!
ホストみたいにチャラチャラもダメ!
爽やかイケメンスポーツマンらしく!
パンツはともかく、
ゴムは絶対、忘れちゃダメ、
スキャンダルは、スターの命取りっ!!』
『…ゴムは、たくさん、準備…と。
OK、メモった!んぉー、楽しみだっ!
な、及川、今から服、買いに行かね?!
俺を
"爽やかイケメンスーパースポーツスター"
に見えるように仕上げてくれよっ!』
明日は、
俺達の"モテ度"が試される日。
大学内が
『女の子の釣り堀』みたいになる日。
DGS…はい、大学祭、で~す(☆∀☆)