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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)




支払いを済ませた赤葦君が
店を出てくるのと、

通りを渡ってきた木兎が
この店の前に到着したのは、
ほぼ、同じタイミングだった。

『…ごめん、ちっと待たせた…
あ、オイカワ来てくれてる!サンキュ!』

『…コタローちゃん…』

『だいたい聞いただろ?』

『納得いかない話ばっかりだけど。』

信じられないほど、
いつものテンション。

『綾、まだあそこにいるから。
話し相手、してやって。』

そんなこと…

『…言ったじゃん、
俺じゃコタローちゃんの代わりには
なれない、って。』

『バッカだなぁ。
俺の代わりじゃ、意味ねーだろ?
別れた男よりいい男じゃねーと、
女は頼れねぇじゃん。

あかーしと木葉は、いい男だけど、
今から朝まで俺の傷心の介抱、
してもらわなくちゃなんねーからさ、

綾を任せられんの、
オイカワしかいねーの。な、頼むっ。』

両手を合わせて頼み事のポーズ。

"ごめん、もっかい今のトス、頼む"

…とでも言っているように、
悲しみも後悔も寂しさも…傷心も…
全く見えない、見慣れた姿。

いつもの俺なら、
"ちゃんと話してくんなきゃ、ヤダね。"
…くらいは食い下がったと思う。

でも、
赤葦君達から、
俺の知らない木兎のことを
たくさん聞かされたばかりで、

木兎なりに考えて、
綾ちゃんと話し合って、
そして今なんだと思ったら、

何も言えなかった。

『じゃ、綾を頼むな。』

『わかった…でも、飲み過ぎ禁止だよ。
明日、二日酔いで絶不調とか許さないからねっ。』

ワハハ、と笑う木兎。

『おい、俺が飲み過ぎそうになったら、
お前ら、ちゃんと止めろよー。』

じゃあな、と手を振る木兎。
守るように、
赤葦君と木葉君が木兎をはさむ。

…太陽のまわりに、
月と星がちゃんと寄り添ってる。

途端に
自分が一人であることを
思い知らされたようで。

『ちょっと待って、コタローちゃん!』

立ち止まり、振り返る3人。

『…コタローちゃん、俺、どーしたらいい?』

『さぁ…二人で考えろよ。
もう綾は、俺の女じゃねぇから。』

それを言われるのが、一番、困る。
これまでの3人のバランスが崩れた今、
…"木兎の彼女"というブレーキがなくなった今…

俺は、どんな立場で
彼女と会えばいい?


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