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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)



『コタローちゃん!?』

息が詰まりそうな勢いで電話に出ると、
返ってきた声は

とても冷静で、
そして、

初めて聞く声、だった。


『及川さん、ですよね?』

『…だれ?』

『夜分にすみません。
自分、赤葦と申します。木兎さんの…』

木兎の口から何度となく聞いた名前。

『…コタローちゃんの高校の頃の相棒の、
あかーし君?』

『はい。突然、すみません。』

『…なに?なんでコタローちゃんの電話から?』

『木兎さんから言われてまして。
10時になってもまだ自分が
森島さんと話してたら、
及川さんを呼んでくれ、
木兎さんからの着信だったら
必ず及川さん、電話に出てくれるから、
って、この電話、預かりました。』

『…コタローちゃんと綾ちゃん、
今、どこにいんの?』

『自分達のいる店の向かいのバルに。』

『…よく、わかんないんだけど。
俺、行った方が、いいんだよね?
行って、どーしたらいいのさ?』

『…さぁ、そこまでは…
俺達も見守るだけしか出来ないんで。
…急で申し訳ないですけど、来て頂けませんか?』

断れる訳がない。
昔の相棒に頼まれて、
今の相棒が断れる訳ないじゃんか。

木兎、最初からそのつもりなら
俺にも一言、言っとけよ。
…とか、
文句の1つも言いたいところだけど、

一方で、
この、電話の向こうの冷静な声の男に
少し興味も湧いてきている。

コイツは、
木兎の何を知ってるんだろう。
あの木兎を全国大会の舞台に
何度も立たせたセッターは
どんな男なんだ?

木兎と綾ちゃんのことを
最初から、しかも
一番近くで見てきたのは俺だという
自負もある。

昔の相棒にだけに頼られるのは
今の相棒としては納得いかないし。
…これは俺のつまんないプライドだけど。

『…行くよ。どこ?』

通話を切った5分後には、
あかーし君が告げた場所に向かって
俺は部屋を飛び出していた。

…どうなってるんだろう。
最初から、
電話してくるつもりじゃなく、
俺を呼び出すつもりだったのか?

確かに、
木兎から直接電話があったなら
電話で話が済んでたかもしれない。

赤葦君からの電話だったから
俺はこうして直接、出てきてる訳で。

…何を考えてるんだよ?

そんなことを思いながら、
夜のざわめきの中を、走った。


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