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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)



『…あたし、クズだ。』

思いもよらない言葉に、驚く。
クズ、って聞こえた気がしたけど、
聞き違えたのだろうか?

グズ?うず?スズ?ゆず?

『…ん?』

『…あたし、クズだ。』

やっぱり、KUZU、って聞こえる。

『…綾ちゃん?』

『光太郎君が彼氏なのが誇らしいのに、
最近、眩しすぎて真っ直ぐ見られない。
…一緒にいると、
自分の平凡さとかダメさにがっかりしちゃう。
会わない時間が長くなると、
他の魅力的な女の子にとられそうで、
そんなのイヤなのに…会うのが怖くて。
…会うのも会わないのも、怖いんだ。
そんな自分のこと、どんどん嫌いになる。
光太郎君の光に比べたら、
私、ヒガんでるクズなヤツだって…』

一気に喋って、一気に堕ちていく。

それは一時期の
悪魔のようだった俺自身のようで。

自分の胸をえぐられたように、
綾ちゃんの言葉が突き刺さる。

『応援してくれてるんだから
私も頑張ろう、って思うのに、
光太郎君はどんどん先に行くから
追い付くどころか離れてく気がする。
…彼氏がうまくいってるんだから
私が一番、喜んであけるべきなのに…
素直に喜べない。…私、クズなの。』

電話だから、表情は見えない。
でも、なんとなく、わかる。

闇、だ。

悲しいわけじゃない。
腹が立つ相手は、自分。
だから、
泣くこともできない、闇。

『…苦しい、ね。』

『…うん。苦しい。』

『…自分のこと、嫌いになったりとかね。』

『…うん。今、自分のこと、大嫌い。』

『だけど、コタローちゃんのこと、
嫌いになんかなれなくてね。』

『うん…及川君、なんでわかるの?』

わかるよ。
手に取るように、わかる。
自分のことみたいに、わかる。

『…俺も、同じだったから。
楽しそうな顔して
何もかも手に入れるコタローちゃんに
嫉妬してた頃があった。』

『…及川君だって、スターなのに。』

『コタローちゃんとはタイプが違うよ。』

『…及川君も、苦しかった?』

『うん…コタローちゃんの持ってるもの、
全部、ほしかった。』

『今は?』

…言われて、改めて考える。

眩しすぎる光に
自分の認めたくない弱さを照らし出された
あの、渇いた自分。

思い出すだけで苦しいけど
"思い出す"ということは、もう
"過去"になった、ということだろうか。

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