第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)
『太陽ってさ、1個しかないから。
2個あったら、多分、地球は、滅ぶ。』
ちょっとの間の後、
ククク、と小さな笑い声。
綾ちゃんなら、わかってくれる。
太陽に惹かれた者同士。
『俺ら、木兎に比べたら
星屑みたいなもんだけど、』
今度は、フッ、と深い息の音。
そして、少し微笑みの混じった声。
『及川君は、あたしみたいなクズを、
光る星屑にしてくれるんだね。』
『…俺も、だよ…
星は星なりに、光らずにはいられないんだ。
1等星か5等星かは違っても、
とにかく、光らずにはいられない。』
電話の向こうの音が、動く。
『星、少しだけ、見える。』
俺も窓を開けた。
『…宮城なら、もっと見えるんだけど。』
『私の田舎なら、星で夜空は満席(笑)』
あ。笑ってくれた。
『東京だと、眩しい星しか見てもらえないね。
…でも、太陽は2個あったら困るけど、』
綾ちゃんが
言葉を引き継いでくれる。
俺が言いたかったことを、そのままに。
『星は、いくつあってもいい。』
そうそう。
あとは、
『自分で光る星になるか、
太陽の光を受けて光る星になるか。
…それは、自分で決めないと。』
『…及川君は、どっち?』
『そりゃ、
自分で輝ける、しかも1等星、目指すよ。
一応、アスリートだからさ。』
『…カッコいいね。』
『クズだけど(笑)』
『私たち、仲間だね。』
『そう。クズ仲間(笑)綾ちゃん、』
『うん?』
『コタローちゃんと、ちゃんと話しな。
コタローちゃんのためじゃなくて
自分のために一番、納得行く道を選ぶんだよ。』
『…それって、彼女失格、じゃない?』
『違う違う。
コタローちゃんは綾ちゃんを
独占したくて彼女にしたわけじゃない。
応援したくて、彼女にしたんだよ。
だから、綾ちゃんが選びたい道を進むことが
一番、嬉しいんだって。』
…本当は、違うかもしれない。
『俺は、会いたい。』と言っていた木兎。
本当は、独占したいのかもしれない。
でも、
俺たちは3人とも、まだ道の途中だから。
目標がある以上、行く先は自分で決めないと。
だよな、木兎。
『連絡、あるかな?』
『あるある、絶対。』
『待ってみる。』
『うん。』
…おやすみ、と言葉を交わして電話を切った。