• テキストサイズ

~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)



ほんの少し、
呼吸ひとつ分くらいの間の後、
木兎は、言った。

『さんきゅ…でも俺、自分で言うわ。
大事なことだからさ、逃げんの、ヤだもんな』

本気だ。

顔をみれば、声を聞けば、わかる。

真剣な思い。
優しい決意。

どんな結果になろうと逃げない、
と決めた、真っ直ぐな強さ。

『…そっか。わかったよ。』

ほかに、言えることなんか、ない。

きっと心配ないよ、とか
綾ちゃんだって
会いたいはずだよ、とかいう

中途半端な励ましに、意味はない。
…勝負は、結果が、全てだ。

『でもさ、俺、ひとつだけ、
綾ちゃんに言いたいこと、あって。
強化組に上がったこと、伝えないと。
俺も、落ち込んで心配かけてたからさ。
それだけ、直接、連絡していい?』

木兎はカラカラカラッと笑った。

『だからさぁ、そーいうの、
イチイチ俺に許可とらなくていいって。
オイカワと綾が会おうが話そうが
俺はゼンッゼン、気にしねーよっ。』

『じゃ、俺は俺の事だけ話すからね。』

ダメ押しの確認のつもりで、訊く。

『おぅ。俺らのことは俺らで話す。』

『りょーかい。…でもコタローちゃん、
何かあったら、いつでも話、聞くから。』

『心強ぇなっ!』

ニカッと笑って、サラッと言う。

『…な、オイカワ、もしもの時は、
俺より綾の心配、してやって。』

『…もしもの時、って何だよ?』

『うーん、わかんねぇけど、ほら、
綾が元気なくなるようなパターン?
万が一、だよ、万が一。』

なんだよ、それ。
イヤだよ、そんなの。
どっちが元気がないのも、イヤだよ。

だから、祈るような気持ちで突き放す。

『ヤだね!
綾ちゃんのことはコタローちゃんがなんとかしな。
だって、俺…』

『なんだよ?』

『コタローちゃんの代わりは出来ないからさ。』

これは、本心だ。
今なら心の底からそう思える。

『だいたい、
行動する前からそんなに考え込むなんて
コタローちゃんらしくないねっ。
あんまり頭使うと、腹、減るよっ。』

ガハハ。豪快な、笑い声。

『…そういや、腹へったな。』

『ほらね(笑)…飯、食い行く?』

二人で歩きだす。

この先を決める、大事な時期。
それぞれの未来に、
残るものと、失うものは、
何なんだろう…


/ 733ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp