第6章 思い出と共に
「カルター!また帰ってくるからね!!」
「うん……哀兎が帰ってくるの、楽しみ」
「連れて帰っちゃダメ?」
「ダメに決まってるだろバカ」
全員にハグして回る哀兎を見送り
その後をめんどくさそうに追いかける青眞を同じく見送った
凜々蝶たちも明日には帰るといっていたので
大晦日前に帰る人たちはそれが最後らしい
手を降り終わった私に渡狸が言う
「おまえは結局帰らないんだな」
「苓が代わりに帰ってくれてるから大丈夫」
「それは代わりになってんのか?……まぁいいや、残るなら、悪いけど教えてほしいところあんだけど」
「え、渡狸が勉強とか……カルタどうしよう、明日は豪雨だ」
「雨……嫌い。飴は、好き」
「うっせぇ!……早めに片付けときたいんだよ」
「冬休みを謳歌するために?」
「そうだ!カルタと……約束したからな」
「……ほぅ、のろけか。爆ぜろやくそが」
「のろけじゃねーし!つ、付き合ってもねーよ!」
「渡狸……私のこと、嫌いなの?」
「き、きら、嫌いなわけねーだろ!?」
「よかった、私も嫌いじゃないよ」
…………爆ぜろ
それか結婚してしまえ
結婚して夫婦になってくれれば私はお幸せに派の人間なんだ
目の前でイチャイチャするな
イライラとしつつ、二人の間に手のひらを差し込む
「てい!」
「おわっ!なんだよ」
「ほら、終わらすんでしょ。やるよ。大晦日、カルタと過ごすんでしょ?」
「なっ!?なんで知って!」
「さぁ、夏目が言ってたかな~」
「あのやろっ!」
「はいはーい、さっさとやるよー。部屋行った行ったー」
背中を押し込み
三人で移動する
もうすぐ、運命の別れが来るとも知らず