第6章 思い出と共に
織姫と彦星?
「え、あの、七夕の?」
「はい。愛し合ったがゆえ、堕落し、離れさせられた夫婦たちの話です」
「そりゃ知ってるけど……」
なにか関係が?
「彼らは愛し合ったがゆえに、堕落してしまった。織姫が機織りをやめたせいで、皆皆の着物はボロボロになり、彦星が牛のお世話をなさらなかったせいで、牛は病気になる。それは、周りにも被害を被ってしまっていたのです」
例え二人にそのつもりはなかったとしても
周りにはそのように影響を与えてしまっている
例え二人にそのつもりはなかったとしても
起こってしまったものは取り返せない
「怒った天帝が二人を引き剥がし、やっとそれらは収まった。つまり、二人は側に居ない方がよっぽど良かった、そういうことにはなりませんか?」
「……そうかも、しれない」
なんだか難しくなってきた
「水と油のように、混ざらないものの方が安全なのです。その方のためにも、周りのためにも……そういった理由だと思います」
「へぇ……」
「姫様のおっしゃることも最もです。しかし、他者に影響を与えるということは、それほど大変なことです」
……なんというか
それと本人たちの意思は別な気がする
うまくはわからないからなんともだ
少なくとも
織姫と彦星は自分達の失態を悔いたはず
でも
日和と苓は……なにも
なにも、してない
なにも聞かされてない
あの様子は納得していないようでもあったし
本人の納得できる話をせずに
問答無用で突き放すのは……どうかと
「……証明が出きれば、良いのに」