第5章 予兆の香り
一学期は文化祭や海
もちろん学校生活も充実していた
夏休み中は蜻蛉が何度も変なお土産とともに帰ってきたし
最後というだけあって三年生組は多いに楽しんだ
そして、季節は夏の終わりを迎える
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「俺卒業したらここ出るわー」
「そして?本当に彩春館で働くのか?」
「絶対反ノ塚寝るよね」
「それ俺も思ったわ」
ラウンジに集っているのは凜々蝶、青眞、反ノ塚、私
それから各々のSSだ
プラスでなぜか夏目さんもいたりする
三年生率の多いこのメンバーでは
自然とそういう話になっていっていた
目薬が落ちるのを見続ける仕事を希望していたと言うのに
結局は寝てしまうと言う理由で反ノ塚は断念したらしい
私もそれはさすがに寝る自信がある
飽きる
「バイトで貯めた金あるし、新しい環境でやりたいこと探すのもありかなーと」
「あー、そういえばバイトしてたね。雪小路さんも副業してるし、働き者だね。二人とも」
「親の金で甘えてると思われても嫌だし」
「全員に言えることだけどな、それは」
青眞の言葉に納得する
なぜか私たち先祖返りの家はどこも繁栄してた
それのせいか
昔から宝物のように育てられているところも少なくない
「そういや、ミケたちはなんでSSなの?こんな危ない仕事じゃなくても他にツテはあるだろ?」
反ノ塚の素朴な疑問
主人と言う立場である彼からすれば
なぜSSを選ぶのかというのは素直な疑問だろう
ごろごろとしているくせにこういうところはズバッと来る
残念ながら、その疑問に私は答えてあげれないけれど……
誰から言おうか、なんて沈黙はなく
両頬を支えた夏目さんが先人をきって答えた