第5章 予兆の香り
「さて☆」
企画者夏目さんが穴を覗き混む
途中でお説教を受けそうになるというハプニングもあったけど
無事埋めることができそうだ
「これで全部かな?」
「待て、まだ御狐神くんが……」
「これだけ数があると、誰のがないかわかんないな……」
「苓」
「入れた」
「じゃあ残りは御狐神さんだけか」
一番こういうのをやらなそうな苓が入れてあるというのなら
残りは彼だけだろう
他にはないかとガサガサと手紙漁りに勤しんでいた反ノ塚が疑問の声をあげる
「ん?凜々蝶、この手紙間違いじゃね?」
「?」
手に取られたその手紙
それを全員で覗く
確かに凜々蝶の字ではあるが、宛名が違う
「これ……御狐神のだよね。名前」
「普通に菓子添えに手紙添えるって言ってたよな」
「ちよちゃん……間違えちゃったの?」
……………………
恐ろしいほどの沈黙
そこに
追い討ちをかけるように青眞が言う
「え、それなら、こっちの手紙を間違えて添えたってこと?」
加え、止めの一撃は相方哀兎が指した
「手紙、読んじゃってるんじゃない?」
御狐神さん宛の手紙を持つ手がピクリと震える
時間にして五秒
小さく息を吸うのが伺えたかと思えば
「きゃーーー!!!!」
キーンと響く悲鳴と一緒に
凜々蝶が崩れ落ちた