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繰り返しずっと……【妖狐×僕SS】

第5章 予兆の香り


「…………おはよう、凜々蝶」

「……ふん、なんだその顔は。おはようございます……」


顔色悪っ……

いったい私がいなかった昨日何が……


エレベーターに乗り込んだ私は、可愛い幼顔に隈を作り

窶れた顔をした凜々蝶を見て一瞬顔がひきつってしまった

凜々蝶はそんな私に覇気のない声を悪態をつく


そういえば昨日渡狸も死んだような顔して帰ってきてたし……

どこ行ってきたんだろう



「昨日、何があったの?」

「思い出したくもないな…………まぁ、少し蜻蛉が……」

「蜻蛉が?」

「……ちょっと待て、なにしてる」

「?」


は?


唐突に固まった凜々蝶

そして直ぐ様私ではない違う人に声を浴びせている

開いたエレベーターの扉の向こうの人

その光景に、今すぐこの場所から立ち去りたい衝動が起きる



「おはようございます、凜々蝶さま」

「おはよう我が家畜よ!!」

「挨拶などいらん」

「……うっわ」



なんでこの人たちこんな笑顔でこんな酷いことを……

額を手で押さえ、仲裁にSSを呼ぼうか本気で悩む

もっとも

凜々蝶に従順な御狐神さんのお陰で、そんな事態は避けられたが……

何をもめていたんだか


「私……用事あるの上だから」

「あぁ、巻き込んですまなかった」

「逃げるのか!?よいぞよいぞ!!」

「うぜぇです」


べしっ!と開閉ボタンを押し、上の階に上る

到着した先は自分のフロア

広々としている廊下を進むと、自分以外の足音に気がつく

それがこのフロアのもう一人じゃないと言うことも、すぐにわかった


「誰?」

「なーんだ、すぐ気づいちゃったか」

「……本気で、誰」


そこにいたのは、

いや、訂正しよう

そこにいたであろう何かは、姿を隠して呟いた




「良い匂いだねぇ……あんた」
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