第5章 予兆の香り
ビュッ……!
「とーちゃく」
「お疲れー♪大丈夫だった?凜々蝶」
「あ、あぁ、なんとかな」
抱いていた凜々蝶を地面に下ろし、無事の確認
簡単に風に乗るといっても、空には小さなごみだって混ざってるし
風で巻き上げられた砂とかもぶつかると痛い
それらを全て薙いだつもりだけど、もしかしたらがあるかもしれない
隣に着地した青眞は疲れたように首を回す
「あいつら置いてきちゃったけど……大丈夫かな」
「たぶん大丈夫だと思う。たぶん」
「すまないな、僕のために……」
申し訳なさそうにする彼女の背を
妖館へ押していく
「いいのいいの。早く御狐神さんのところ行かないと」
「まぁ、どのみち大分遅いけどな」
「行かないよりはましだよ」
「あ、ありがとう…………この埋め合わせは必ずする!」
小さな後ろ姿を見送って
変化を解く
御狐神さんなら怒りはしてないと思うけど……どうなんだろ
結構大切な約束っぽいし……
「約束ってなんなんだろうね」
「うーん、買い物……?晩御飯とか?」
「私たちにはできないなー」
「どういう意味だおい」
「そんな計らいしてもらったことないもん。たまにはさー、でっかいこんぐらいのもふっ!としたぬいぐるみとかさー……」
別になにかを求めてる訳じゃないけれども……
ちゃんともらうものはもらってるし
半分冗談で
半分本音
「もしくは遊園地の絶叫もの乗り放題とかーー」
「それでいいんだな」
「え」
「それで、いいんだな」
え?