第4章 住人たちの帰還
「わぁ……真っ暗」
随分と遅くなってしまったな
と、星が浮かんだ空を見上げながら思う
まさか抹茶屋さんであんなにも話がもりあがるとは…………
苦笑いをこぼして、妖館に足を向ける
こんな時間まで友達といたのは久しぶり
たまにはいいな、こういうの
美味しかった抹茶や楽しかった話を思い出す
今度は凜々蝶や哀兎も連れてこよう
甘いもの好きだから、カルタも
なんなら学生組皆でも良いかもしれない
クスクスと笑って、そう言えばと携帯を開く
通知は数件貯まってて、その中にいつもの文字はない
苓……悪いことしちゃったな
何も連絡いれずに行っちゃったし
帰ったら怒られそう
「……急いで帰ろう」
ポケットに携帯を押し込んで、鞄を持ち直す
大きく足を伸ばして、私は走り出した
暗い住宅街を抜けて
木々の多い公園横を通る
何か言い争う声が聞こえるな
不良の喧嘩?
でも女の子の声もするし……
ってあれ
この声って…………凜々蝶の……
走る足の速度を落とし
声のする方を振り向く
やっぱりそこには凜々蝶がいて、変化した御狐神さんと哀兎もいた
だけど、三人とも困惑したような表情を浮かべて
私に気づきそうにない
どうしたんだろうか……
「りりーーー!」
「下がれ」
「青眞!?」
予防と近づいた体がぐんっと後ろに引かれ、青眞の声が制止する
金属音とはまた違う、響かない打撲音に、後ろに向きかけた顔を前にした
「ふはははっ!!よくぞ止めたぞ!それでこそS!!」
「……意味がわからん、くたばれ変質者」
苓も?
というか、なんで、あいつが……
抜刀せずに受け止めた苓に刀を振り下ろしているのは間違いもなく
凜々蝶と同じ鬼の先祖返り
「蜻蛉……」