第4章 住人たちの帰還
『死人が恨みを晴らすためだけに化けてでるのと一緒。前世の君は恨みを晴らすためだけに、今の君にその感情を残したんじゃないかな』
『恨みを晴らすためだけって……なんでそんな』
『さぁ、君の怪異が為すことは多種多様だからね。人に憑いたり、呪ったり、操ったり、祟ったり……共通してるのは恨みのある相手にすることばっかりってことだもん』
『っ……』
全部が正しすぎて
なにも反論ができなくなってた
それでも
それも含めて
守ることが仕事だと思った
『どうでもいいだろ。その時がくるまでは』
『確かにそうだね。呪いたい、恨みたい相手が現れない限り、君のそれは暴れないよ』
睨みから逃れるように立ち去っていく
後ろを向くと
深く考えるように胸に手を当て
自分を掴んでいる主人の姿があった
「……何かが来る。数日後かも、数年後かも、数十年後かもわからないけど」
本当に
前世にその恨みたい相手と何かがあったのなら
俺たちは
俺たちの辿る運命なら
その相手と会えるはず
そして
「その相手が来たら、俺たちの知らない本当が訪れる」
「本当?」
「本当に味方なのか、本当に敵なのか、本当に自分なのか、本当に…………ただの猫なのか」
全部
誰かの絵空事にすぎないのか