• テキストサイズ

繰り返しずっと……【妖狐×僕SS】

第4章 住人たちの帰還


「………………」


「猫実ー、一緒に抹茶のパフェ食べに行こう!」

「おお!それは是非とも行きましょう!」


「……はぁ」


明るい情景から目をそらし

屋上のフェンスに項垂れる

そうしていると

風が真横を裂く


「どうしたんだよ、らしくもない」

「…………青眞」


届いた声に

振り返らずともわかる

同じ場所で毎日のように聞いている声だから

マイペースに振り返って

姿を目視する


「お前ら最近おかしいぞ。一緒に居ないし」

「そちらも一緒にいないけど」

「残念ながら、哀兎は女の子を助ける方がモチベーション上がるからな……凜々蝶の方だ」

「へぇ」


凜々蝶ね

なんかあったのかな

御狐神さんが黙ってるとも思えないけど……


「で?お前らは?けんか?」

「……喧嘩ではない。喧嘩してるなら悪口が湯水のように流れる」

「じゃあなに」

「日和の、恨み」

「恨み?」


僅かに拒否する脳から

この間の会話を思い出す



『恨みだよ』



そう言った夏目は

いつものように掴めない笑顔をしていた

未練と言う彼女の言葉を認めず

それは恨みだと言う

恨みを持たない人間はいない

皆が皆持ってる

けど


彼女は未練のようなものと言った

未練は生前の執心が残って思い切れないこと

死んだ人間の霊によく使われる

生きていても使うが

思い当たる節がないように言っていたから

それはない


つまり

前世の心持ち


しかし夏目は恨みという

二つを会わせてみても

前世の恨みが残っているということ


『前世の記憶を繰り越しで持ってる先祖返りも稀にいるんだよ。でも、君には感情だけが置いていかれてるんだ』
/ 76ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp