第1章 ここは妖館
反ノ塚を一睨みして、また息を吐く
ただでさえ、この春休みが終わってしまうというのに……
学生にとって長期休みは娯楽
……宿題さえなければ
「そう言えば、苓はどうした?一緒じゃないのか?」
「SSにも休みを与えてあげて。それに、昼間は私がほとんど動かないからね」
「お、確かに起きてるの春休みはいって初めて見たわ」
「嘘をつけ!さすがにそこまでひどくない!」
昼夜逆転してるだけであって!
午後には起きてる!
説得力の欠片もない心の叫びは自分の思考通りの答えが返ってきそうだからしまいこむ
「あー……腹へった。飯食ってくるわぁ」
「話のねじ曲げ方……」
……まぁ、反ノ塚ならいいか
私はそんな背中を見送って、窓に凭れた
ここは厳重な審査をクリアした者しか入居を許されない高級マンション……
または、家柄、能力、財産を持てるものが入居するマンション
表向きはそうなってる
間違ってはいない
けれど、本来は違う
「…………何のかな」
今日来た彼女は
一言呟いて、振り返った私は静かに迎えに来た苓に声をかけて歩き出す
「反ノ塚から聞いたの?」
「うん。そんな感じ」
「なるほど。ほんと、過保護だね。あの人」
「見た目と違っても足しといて」
「それはさっき言ったばっかり」
違う言葉遣いでだけど……
そんな会話をしながら、その場所を離れた
またの日の夜に、ここがお披露目の場になるとも知らず