第3章 懇親会の夜に
「御狐神とは別の意味で過保護だよな。ほら、野ばらなんて、俺を何回雑巾にしようとしたことか……」
「うちの哀兎なんて、俺のこと鼬呼ばわりだ」
「え、だって本当じゃん?」
「ふざけんな!?」
そういうのの方が、仲良しに見えるけどなぁ
何だかんだで
今日もこうやっていさかい無く遊んで過ごす予定だったのに
ぶつくさ思っててもすすまない
進むのは時間のみ
どうしてこうもうまくいかないかな
憂鬱な気分のまま、その日は終了を迎えようとしていた
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夜
凜々蝶からの仲直りをしたというのと
SSを改めて依頼したという内容のメールを読んで
少し笑みを漏らしていると……
「メール見て笑うとか気持ち悪い……」
「人の部屋に勝手に入るとか気持ち悪い」
牛鬼の足音のなさにはもう慣れたけど
行動まで無音にされると流石に困る
振り返って睨むと目の前に手が出される
いったいなに……
何をしろと?
「なに?」
「飴」
「飴?」
「くれるなら、外に出て良いよ」
「!?」
なんだと……
あれだけ今日ダメだったのに?
驚きすぎて彼の頭を疑ってしまう
しかし
この時間に外に出るのは
いったい何年ぶりか
……好奇心が、勝つよね
箱から取り出した飴を、差し出されていた手に置く
すれば、変わる
ブワッ!
「わっ……!」
「んじゃあ行こうか。夜遊び」
変化されたその姿も、久しぶり
やっぱり
あの夢はこのためだった
「夜遊び、楽しいと良いね」