第3章 懇親会の夜に
『SSって、どんな仕事?』
懐かしい、夢を見た
『それはですね、契約した相手をお守りする仕事ですよ。命に代えても、その方をお守りするのです』
これは、いつだったかな
つい最近、話したような気がする
『契約は選べないの?勝手にされるもの?』
『いいえ、互いの同意が必要かと』
『へぇ……そう』
あぁ、そうだ
これは
『なら、俺がSSをやるよ。日和のSS。命に代えても、守ってみせる』
私の、"一番最初"の記憶
「………………」
目から涙が流れてる
どうやらこの夢は
私にとってとても大切な記憶の断片らしい
私という人間が
猫実 日和として歩み出した、最初の記憶
あの家から解放された……初めて、本当の忠誠を見せてもらえた日
「…………今日の、せいか」
ぼやくように呟いた
記憶は何か思い出すきっかけがないと思い出せないものだ
きっかけが、今日のあれだったのだろう
思い出したくないような
かといって
忘れたくないような記憶
偽物の忠誠はたくさん見てきた
私を私として扱ってるのではなく
私を先祖返りとして扱ってる……偽物の忠誠
普通のことだけど
そんな普通はいらなかった
先祖返りとして生を受けたことを
酷く、後悔していたから
皆の話を聞いていっても
良い話ばかりじゃない
哀兎だって、凜々蝶だって、御狐神さんだって…………それこそ、カルタだって
皆、それぞれの持ち物を抱えてる
……………………
「よし」
たまには、こういう時間も必要