第3章 懇親会の夜に
「彼女じゃないんだ」
「はい。以前告白されてお断りしたのですが…………これで諦めるからと」
なるほど……
聞けば聞くほどにこれは……
それぞれの考え方の話になるな
もちろん
私としては、それでキスをするのはどうかと思うけれども
というか
ここにいるほとんどはそうなんだろうな
「……部屋に戻る」
「凜々蝶さま、」
「………………」
寡黙を保っていた凜々蝶が席を外したのを視界にいれながら
オレンジジュースを含んだ
複雑だな……こういうの
信頼していた人が、そんな人だと知るのは
当たり前だよ、人の深くに入るってことは
そういうこと
こういう雰囲気が苦手な哀兎は、「さーて、ゲームやろうかな」と言って部屋に戻ってしまったし
野ばらさんと反ノ塚も少々悩みながらいなくなり
ラウンジには私だけが残った
「……難しいな…………」
二人の問題なんだけど
どうにか仲直りはできないのかな
明日の懇親会に私は参加しないし
やれることがほとんどない
見守るのがベストかな……
こういうのって
あんまり手出ししない方がいいっていうし
机に項垂れ、誰のためでもないため息をつく
どうか上手くいくように願うばかりだ
あわよくば、どちらも傷つかない方で…………
バン!
「哀兎!!」
「……部屋に戻ったけど」
「くそ!鼬ってまた言いやがって、待ってろよ!」
「………………苓、何とかって伝え方無かったの?」
「あいつ嘘嫌いじゃん?」
「あぁ……そう」
……どうか
あの二人も良い具合に収まってほしいものだ