第3章 懇親会の夜に
「んー……!やっと終わったぁ……!」
昇降口でやっと羽を伸ばせた私は
つい先程まで先生に捕まり、見事なまでの初日から出血大サービスで仕事をして来たのだ
なんだよ、始業式はなにもすることないって言ってたじゃないか
嘘つきだなあの先生
良いけどさ……図書の返却棚の整理ぐらい
さて、と
「苓はまた追い回されてるかなー」
「うちの青眞もお友だちに囲まれててまだなんだよねー」
うお、いつの間に
唐突に現れた哀兎に驚きながらも
お互いに待ち人がどうして人気者なのかと悩む
別にモテたいわけじゃないけど
こういう日は早く帰りたいと思うのが心情だ
「どうする?一応ペア的にSSと主人だから、二人で帰る?」
「そうしようかね。苓にはメールを入れとこう」
「鼬君の送迎よろしくって入れといて」
「……泣くよ?青眞が」
「勝手に泣かしとけ」
「そうだね」
きっと泣かないし
手短にメールを打って、私たちは帰路についた
途中、凜々蝶とも合流して
三人での下校
「でね、そのとき………………?あれ?」
「?どうしたんだ、哀兎さん」
「あ、反ノ塚と野ばらさんだ」
何してるんだろ、あんなヒソヒソと
「何してる、入り口で」
「あ、凜々蝶ちゃん。ちょっと入りづらくって」
「入りづらい?」
「どういうこと?」
視線の方向を全員で見れば……
御狐神さん……?
それと、女の人?
「ちょっとただならぬ雰囲気よね……てゆーか美人じゃないの」
「ってゆーか巨乳じゃないの」
「同じポーズ、同じ言い回して言わない」
「あはは……」
「………………!」
けれども、そんなおふざけは即座に中止された
なぜか
そんなの、決まってる
その女の人と、御狐神さんが
キスをしたから