第2章 歓迎
「哀兎!」
「おー、生きてたんだね青眞」
「お前な……俺と台詞交換しろよ」
開けたそこには、同時に撃ち破ったのであろう二人がいた
例のごとく、寂しがり屋のわんちゃんは凜々蝶にベッタリだ
相当心配してたんだなー……
犬というより兎なんじゃ……
塵一つ無くなった塗り壁は少し可哀想だったけど
主従愛の前に障壁は無効みたいだよ
二人をあたたかーく見守っていれば
ー♪
ピッ
「はい。俺ー」
「あいつどっから携帯出した……」
「さすがお兄様です」
「ほら、魔法のポケットなんだよ」
「それでいいのか……?」
良いんじゃないかな
なんでもありだよこの際
人間の姿に戻りつつ
会話に耳を傾けている時間が延びていくにつれ
だんだんと全員の表情……いや
御狐神は変わってないけど
察したように歪んでいく
あはは……
つまり、無駄に危険な目にあっただけ?
「………………まー、よくある話だ」
「……まぁな」
「カルタが無事で何より……」
何よりだけど
なんだろうこの敗北感
誰に負けたわけでもないのに疲労がおかしい
やられた感が大きい……
やるせない気持ちを何処へぶつけることも出来ないので……
「凜々蝶ー」
「わっ!な、いきなりなんだ!」
「いやぁ、趣味?」
「趣味!?」
恥ずかしがって慌てる凜々蝶に抱き付いて
発散させることにした